1945年、バルセロナ――終戦後、ひっそりと自らの傷を癒していた世界的大都市。少年ダニエルは11回目の誕生日に目覚め、自分がもう母親の顔を思い出せなくなっていることに気づく。古書売買人で男やもめのダニエルの父は、一人息子を慰めるため、彼を「忘れられた本の墓地」へ連れていく。そこはバルセロナの稀覯(きこう)本売買人組合が管理する図書館だった。そこには、すでに世の中から忘れ去られ、いつかまた誰かが興味を持ってくれるのを待っている本ばかりが置かれていた。父はダニエルを説きつけて、らせんの迷路のような書棚の列から1冊を選ばせる。それはダニエルにとって特別の意味を持つことになる1冊だった。ダニエルは自分が選んだジュリアン・カラクス作『風の影(The Shadow of the Wind)』に魅了され、この作者のほかの作品を探し始める。しかし、驚いたことに、それらはすべて、故意に処分されていた。事実、ダニエルが手にしている本が、この作者の残された最後の1冊であるようだった。ダニエルは無邪気な探究心から、バルセロナの暗い秘密――殺しと魔法と狂気と悲劇の愛に満ちた壮大な物語――に通じるドアを、自分でも気づかぬうちに押し開けている。やがて彼は気づく。自分がジュリアン・カラクスの真実を発見しなければ、自分も、自分の愛する人々も、とてつもない苦しみを味わうことになるのだと。
驚くべき小説に出あったときの例にもれず、『The Shadow of the Wind』を読むと、これに匹敵する小説があるだろうかと考えてしまう。『The Crimson Petal and the White』はどうだろうか? アルトゥーロ・ペレス・レベルテの小説は? あるいはヴィクトル・ユーゴーの小説は? 『Love in the Time of Cholera』はどうか?――だが結局、驚くべき小説の例にもれず、匹敵する小説などどこにもない。スペインの著名な書評家はこう語っている。「ルイス・ザフォンの作品は非の打ちどころがないほど独創的で、魔術的な才能すら感じさせる。『The Shadow of the Wind』は、スペイン文学界おける奇才の登場を告げる作品だ」。本書は神秘に満ちた歴史ミステリーであり、心を刺し貫くロマンスであり、本の持つ不思議な力への頌歌でもある。物語作家が創造しうる最高の芸術といえよう。
カスタマーレビュー
旧くて新しい物語
★★★★★2010-03-11
Shadow of Windとは、主人公がふとしたきっかけで見つけた本のタイトル。この本の作者の秘められた過去が明らかになりながら主人公も成長するという物語で、いわゆる刑事モノや探偵モノに飽きた方には新鮮に映るかもしれません。
言語はスペイン語だと思います。英訳本にありがちな間延びした文章にならず、時にビビッドに、時に笑わせながら、休みなくストーリーが展開します。個性的な登場人物が作り込んであって、あっという間に読んでしまいました。バルセロナの歴史や街並み描写も心に残ります。しめくくりもダラダラせず、読み終わった時のすっきり感がたまりませんでした。イチオシです。
物語の始まりは、主人公Danielがその作家Caraxの、おそらくはたった一冊この世に残った著書「The Shadow of the Wind」を偶然再発見するところから。
このときDanielはわずか10歳。やがて彼は成長し、大人になり、同じ年の子供を持つまでの時間をかけ、謎の作家の足跡を少しずつ知ることになります。
upon reading a new book, has searched out every book written by that author in an attempt to escape into the magic of the writer's narrative again. So few authors can capture your imagination with the written word and I am pleased to say that Carlos does a wonderful job of creating a true page turner. Mr Zafon takes the thrill of the 'hunt' to a new level, for someone is buying every book by author Julian Carax and burning them. And now that this stranger knows that Daniel, a young boy living in post WWII Spain, has a copy of 'The Shadow of the Wind' by Carax it is only a matter of time before they shall meet. Daniel, in an attempt to understand why someone would destroy such wonderful books, begins investigating the author - leading him to a startling conclusion that will have you awake late at night frantic to reach the end of this fantastic book. May I also recommend reading--The Fates by Tino Georgiou, it's an brilliant novel you don't want to miss.
1945年、バルセロナ――終戦後、ひっそりと自らの傷を癒していた世界的大都市。少年ダニエルは11回目の誕生日に目覚め、自分がもう母親の顔を思い出せなくなっていることに気づく。古書売買人で男やもめのダニエルの父は、一人息子を慰めるため、彼を「忘れられた本の墓地」へ連れていく。そこはバルセロナの稀覯(きこう)本売買人組合が管理する図書館だった。そこには、すでに世の中から忘れ去られ、いつかまた誰かが興味を持ってくれるのを待っている本ばかりが置かれていた。父はダニエルを説きつけて、らせんの迷路のような書棚の列から1冊を選ばせる。それはダニエルにとって特別の意味を持つことになる1冊だった。ダニエルは自分が選んだジュリアン・カラクス作『風の影(The Shadow of the Wind)』に魅了され、この作者のほかの作品を探し始める。しかし、驚いたことに、それらはすべて、故意に処分されていた。事実、ダニエルが手にしている本が、この作者の残された最後の1冊であるようだった。ダニエルは無邪気な探究心から、バルセロナの暗い秘密――殺しと魔法と狂気と悲劇の愛に満ちた壮大な物語――に通じるドアを、自分でも気づかぬうちに押し開けている。やがて彼は気づく。自分がジュリアン・カラクスの真実を発見しなければ、自分も、自分の愛する人々も、とてつもない苦しみを味わうことになるのだと。
驚くべき小説に出あったときの例にもれず、『The Shadow of the Wind』を読むと、これに匹敵する小説があるだろうかと考えてしまう。『The Crimson Petal and the White』はどうだろうか? アルトゥーロ・ペレス・レベルテの小説は? あるいはヴィクトル・ユーゴーの小説は? 『Love in the Time of Cholera』はどうか?――だが結局、驚くべき小説の例にもれず、匹敵する小説などどこにもない。スペインの著名な書評家はこう語っている。「ルイス・ザフォンの作品は非の打ちどころがないほど独創的で、魔術的な才能すら感じさせる。『The Shadow of the Wind』は、スペイン文学界おける奇才の登場を告げる作品だ」。本書は神秘に満ちた歴史ミステリーであり、心を刺し貫くロマンスであり、本の持つ不思議な力への頌歌でもある。物語作家が創造しうる最高の芸術といえよう。