なだらかな丘、ゆったりと流れる川、草木をさわさわと揺らして通り過ぎてゆく風。英国の美しく、のどかな自然を舞台に、モグラ、ネズミ、アナグマ、ヒキガエルの小動物が繰り広げる冒険の物語。これ、好きだなあ。
モグラくんが、「今日は、お散歩日和だ。身体がむずむずするぞ。足が歩きたいって言ってるぞ。風の向くまま、気の向くままに、ちょっくらそこまで出かけてみようか」てな感じで、近所の川べをとことこ歩くシーン。あの辺からね、英国産の温雅な動物ファンタジーのあたたかさ、のどかさ、楽しさに魅了されましたねぇ。
「ぷっぷー。ぷっぷー」と、自動車という乗り物にすっかり夢中になってしまったヒキガエル。車の魅力にとり憑かれて、アル中ならぬクルマ中毒状態の彼の目を覚まそうと、モグラくんやネズミくんが救いの手を差し伸べます。彼ら小動物たちを結ぶ友情の絆、相手への思いやり。そういうあたたかな味わいも、とてもいいなあと気に入っています。
原題は、『The Wind in the Willows』(1908年)。石井桃子の訳文も親しみやすく、雰囲気とセンスがあって心地よいです。
そうそう、それと、この本のことをきっかけに、中学生の少女(爽子)と少年(耿介)の気持ちが触れ合う場面が素敵な一冊があるのだそうな。高楼方子(たかどの ほうこ)の『十一月の扉』。近いうちに読んでみよう。