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君たちはどう生きるか (岩波文庫)

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  • メーカー: 岩波書店
  • JAN/ISBN: 9784003315811
  • 定価: ¥ 798
  • 売上ランキング: 1380 位
  • ★★★★★

カスタマーレビュー

私の座右の書です
★★★★★2009-11-14
最初に出会ったのは大学生の頃でした。
岩波文庫は東西問わず古典作品が多く、昔の仮名使いのものもあって読み辛かったのですが、そんな私が初めてすっと読めた岩波の本がこれでした。
元々は少年向けに書かれたものです。主人公コペル君の日常と、それについて「おじさん」と往復書簡形式でやりとりをする、基本この流れです。
これが大変読みやすくて、しかも内容が深い。
この本を「過去の産物」と言う人は、本質が何も分かってないとしか言い様がありません。
出版された時代背景とか、コペル君と「おじさん」との対話に内包されている社会科学の奥深さなど、今の時代にも通じる示唆がたくさんあります。
そして何より素晴らしいのは理屈っぽくなく、上から目線でモノを言っていないところ。
これが単なる道徳本の枠を超えて名著と呼ばれ続けている所以なのです。
一家に一冊、是非揃えて頂きたい本です。
あの時代を思い出す
★★★★2009-10-01
 この本を読んでいる最中、何度私の中学・高校時代と重なったであろうか。同級生間の馬鹿らしい虐め、裏切り、自害を考えるほどの自己嫌悪が。私以外の皆も、青春を歩むうちに避けて通れなかったことであろう。当時の私と作中のコペル君、人間として出来ているのはどちらかというならば、どう考えてもコペル君であろう。私ならば、とても虐められている同級生をフォローして挙げられなかった。北見君のように悪友を殴りつけてやる程の信念はなかった。コペル君は、自分が日本全国、いや世界の全人口からすれば自分が如何にちっぽけな存在なのかを知っていた、1人で生きているつもりが沢山の人々の支え合いによって生きていることを。全く兜を脱ぐ次第である。
 そんなコペル君も或る日、親友たちとの大約束を破ってしまう。風邪を拗らせ、1ヵ月近くも寝込んでしまうわけだが、彼は、友を裏切った罪悪感でいっぱいであった。そこで、己を知ったのである。叔父さんの知恵を借り、ついに友を取り戻した。人間、誠実さが大事であることを、潔さが大事であることを学ばせていただいた。

 戦前の道徳書として執筆された本であるが、決して古くなく、精巧な美しい文章である。この書に描かれた大日本帝國は決して、しばしば戦後に言われるような血塗られた時代ではなかったということも本編と関係なしに学べることでもある。現在、我が国が使用している「中国」という国名も、歴史的にも学問的にも正しい「支那(チャイナ)」を使用しており、ねつ造が多い岩波書店もやるではないかと思った。案の定、あとがきの歴史解釈は、GHQによるWGIPの影響が強いものであったが・・
 倫理や道徳について、一言言うならば、倫理は一神教によって善悪を判断することをいい、道徳は世間の目を気にすることで己の行動に規範を作る場合をいう。著者と丸山氏はあとがき部分でそれをごちゃごちゃにしている点があったので付け足しておく。
 総合的に見て、素晴らしい道徳書であり、多くの中高生に薦めたい。手始めに、知人の御子息に一冊プレゼントしようと思う。日本人のほとんどが目を通したことのある本として、後世まで残ればきっと、我が国はより良い国となっているだろう。
一見古臭いけど
★★★★★2009-09-07
 「コペル君」(本田潤一)は旧制中学1年生。
 日々の生活の中で感じたこと・考えたことなどについて,叔父と話し,叔父がそれについて感じたこと・考えたことを「ノート」に記して,コペル君に示す。

 例えば,コペル君と友人は,級友の北見君が5年生の黒川君に目を付けられていると噂を聞き,北見君がやられそうになったら皆で一緒にやられようと約束した。にもかかわらず,実際に北見君がやられる場面を目の当たりにし,浦川君たちが身を張って北見君をかばったにも関わらず,コペル君だけは恐怖心から動くことができなかった。
 叔父さんは,あれこれと言い訳を考えるコペル君に,「コペル君,いま君はそんなことを考えていちゃいけないんだ。いま君がしなければならないことは,何よりも先に,まず北見君たちに男らしくあやまることだ。済まないと思っている君の気持を,そのまま正直に北見君たちに伝えることだ。その結果がどうなるか,それは,いまは考えちゃあいけない。」と一喝する(234頁)。

 コペル君の感じたこと・考えたことは,一見すると古くさい感じがするが(本書が刊行されたのは1937年),おそらく,本質的には現代でも大きくは変わらないような気がする。文字通り,人が「どう生きるか」を考えるきっかけを提供してくれる好著である。
道徳教育というならこのくらいのものを
★★★★★2009-08-21
 こどもの通う小学校が道徳教育に力を入れている。ちかごろ道徳教育が大事だと声高に言う人が増えているようだが、ほかの教科と性格が異なり、教えるのは難しそうだ。
 「こういうことをするのは良くないことです、だからやめましょう」という「正解」を示し、知識として教えても、実際の行動と結びつくかは別である。また、変に複雑な問題を取り上げて子どもを悩ませて終わる(どちらも正解です、といわれて子どもは途方に暮れてしまう)のも本筋ではないだろう。本当に道徳教育を考えるなら、本当に大切なことを、シンプルに取り上げ、しかも、魂に響くようなものでなければ意味がない。
 この本は戦前のもので、主人公は旧制中学に通うお坊ちゃんだが、内容に古いところはないし、非常に上質である。言葉遣いや細部は時代を感じさせるが、難解というほどではないし、現代の作品にはないすがすがしい雰囲気がある。
 社会の一員であることの自覚、学校での弱い者いじめ、友情、裏切り、和解などが十五歳の少年の目から描かれる。生きていく上で芯となる重要でシンプルな事柄が取り上げられている。フェアに、誠実に生きるとはどういうことか。
 ぜひ子どもに(高学年になったら)読ませたいと思う。こういう本を読むのは教養の一部だと思う。
ブレードランナーとネバーエンディングストーリーを足したよう。
★★★★★2009-04-19
 霧雨の銀座のデパートから見下ろす街、映画”ブレードランナー”の冒頭のように、暗く、少し不気味な雰囲気で始まる。知らず知らずに、”コペル君”と”叔父さん”の話に引き込まれている。コペル君の生活、成長を通して語られる内容。空を飛ぶわけでもなく、創造上の怪物がでてくる訳でもないが、”ネバーエンディングストーリー”のように、成長していくコペル君。そして、中学生とか大人とか関係なく、人間としての普遍的な問いかけがされる。。。
こんなに平易な文なのに、こんなに考えさせられる本に出会ったのは初めてである。哲学的な本です。カブールとかペシャワルとかアフガニスタンの話まで最後に出てくる。太平洋戦争が始まる頃の年代に書かれたようだが、時代も空間も超えたような感覚が読んでいて時々おこる。不思議で、魅力的な本である。

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