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日本の思想 (岩波新書)
メーカー: 岩波書店
JAN/ISBN: 9784004120391
定価: ¥ 735
売上ランキング: 5824 位
★★★★
☆
カスタマーレビュー
これは「日本の」思想固有の問題なのだろうか
★★★
☆☆
2009-12-11
内容については多くのレビュワーの方がわかりやすい解説を書いているのでここでは割愛させていただく。
本書を読んで一番疑問に思ったのが、これははたして「日本」固有の問題なのだろうか、という点である。
例えば、思想のタコツボ化や異学問間の共通の土台に基いた論争の不在などは、現在でもしばしば丸山を引いて持ち出される。
だが落ち着いて考えてみればわかるが、そもそも海外の学問的論争が日本に伝えられてくるということは、その論争が実りあるものだからということである。
日本の「適当に選びだした論争」と、海外の「とりわけ実りある論争」とを対比しても意味がない。
この点は、日本では思想が雑然と存在するだけでそこから新しい思想が相乗効果的に編み出されることがない、というのも同じではないか。
海外から思想が入ってくる場合は、今までと同じものではなく新しく編み出されたものが入ってくるに決まっている。だが海外でも多くの思想は雑然と存在するだけで失敗に終わっている可能性は高い。
(しかし、例えば中島義道が指摘しているように、日本には哲学史研究者はいても哲学者はいない、という傾向はあるかもしれない)
また、有名な「無責任の構造」が、ハンナ・アレントのイェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告を読む限りドイツでも同様に観察されていたりする点にも同様に表れている。
というわけで、丸山の問題提起は日本の思想の問題というより、思想全体の抱える問題と捉えてみた方がいいような気がした。
若い方々に最初の一冊にしていただきたい思想書
★★★★★
2009-11-13
既に多くの方々が力のこもったレヴューを投稿しておられますが、
最近、久し振りに読み返して感動の新たになった私にも、この、思い出の多い新書について少し書かせてください。
その昔、大学に入って、哲学とかイデオロギーとかいうものに本格的に直面し、手を焼いていた私に、信頼していた先輩が、
「とにかくこれを読んでみろよ」とすすめてくれたのがこの新書でした。
きっと途中で撤退だなと弱気なことを考えつつ、渋々という感じで読み始めたのですが、驚くなかれ。
最後まで読み通せてしまった。しかも、内容もそれなりに理解できてしまったのでした。
このテの書物で「それなり」にでも理解できたものはこれが初めてで、大きな自信になったのはもちろん、さらに難解なものにチャレンジするための、心強いてがかりにもなってくれました。
この本と出会わなければ、私の読書歴は全く違ったものになっていたはずです。
どうして未熟な私にも理解できたのか。
それは、丸山真男氏の、意外なほど平明で的を得た言葉遣いと、あいまいさのこれっぽっちもない記述。
この二つの力によるところが大きいと思います。
論の立て方は明快この上なく、いい加減にごまかすところがありませんから、じっくり文章を追っていけば、時間は少しかかっても内容はやがて必ず理解できますし、
たとえ分からない言葉が出てきても、論じられていることがらがそれなりに理解できていますから、論の内容から言葉の意味が逆に突き止められる。
「哲学辞典」のようなものはまるで必要ありませんでした。
どうしてこんなに分かりやすいんだろう。
ものごとをきちんと理解した本当に頭の切れる人は、どんな難解な思想もこれほどの平明さで語ってみせることができるのだ。
そんなことを当時は漠然と考えたものですが、後年になって、それだけではないことに気付きました。
氏が、福沢諭吉に若い頃から私淑しておられたことを知ったからです。
福沢はご存知の通り、どんな未熟な読者にでも理解できる、平明かつユーモアに富んだ文章で、論を進めていく人です。
それは、西洋文明とその思想に全く無知であった当時の一般大衆に、噛んで含めるようにものごとを説明しなければならなかったからなのですが、
丸山氏の「分かりやすさ」は、福沢のそんな姿勢を見習ったもののように思えてなりません。
氏はおそらく自分の考えを、町井の、出来るだけ多くの人達に伝えたいという情熱を持たれていたのではないでしょうか。
戦後の日本人がいかなる道を歩むべきかを「啓蒙する」、昭和の福沢諭吉足らんとひそかに念願されるところがあったのではないでしょうか。
私にはそう感じられてなりません。
ただ、ひとつだけはっきりとさせておかなければならないのは、私の言う丸山氏の文章の「分かりやすさ」とはあくまで、高度で複雑な内容を驚くほどの明快さで伝えているという意味であって、未熟な読者が何の苦労もなしにスラスラ読めるような易しい文章のことを指しているのではありません。
読むのにはやはりそれなりの決意と根気が必要です。
ただ、ひとたびそうして強い決意をして立ち向かえば、必ずその努力に応えてくれる。
懐深い胸に読者の努力をがっちり受け止めてくれる、そういう本だと私は言いたいのです。
いずれにしてもこの書物は、未熟な者を傲然と排除してかかる、高慢ちきなものではありません。
ですから、若い方々も、もし何かの縁があってこの書物に出会った時は、しり込みせずに挑んでください。
いくらおぼつかない足取りであってもきちんと読み通そうとする努力をこの本は決して見逃さず、
多くのものをあなたにもたらしてくれるはずです。
難しいが一読の価値あり
★★★
☆☆
2009-11-01
日本を代表する政治学者である丸山真男の代表作の一つ。本書は4章からなりたっているが、前半の1・2章は、私には難解だった。3・4章は、講演録を元にしており、ですます調で書かれているのでやや読みやすいが、4章はやはり難しかった。
1章で印象的だったのは、近代日本思想の「國體」についての項で紹介された摂政宮狙撃事件の果てしのない責任の負い方、御真影を燃えさかる炎の中から取り出そうとして多くの校長が命を落としたというエピソード。今では考えられないことが現実にあったのだ。
3章は比較的分かりやすかった。組織のタコツボ化問題とイメージの一人歩きの問題について述べられている。現代社会では、TVやインターネットなどの情報媒体が発達しており、実際に自分が会ったことも見たことも無い人について、あれこれ言うわけだが、それはあくまでもイメージにすぎない。日本を牛耳っているのは官僚だと考えられているが、当事者である局長や部長級の役人がやはり被害者意識であるという。これもイメージの一人歩きである。
50年近く前の著作であるが古びていないのは、丸山氏が日本社会における歴史的に普遍的な問題を指摘したからであろう。
問題の根は深い−丸山真男の言葉から政治文化としての空白の半世紀を検証する−
★★★★★
2009-08-01
最早、現代の古典となった感のあると同時に70年代の現代国語の教科書や大学の入試問題でも馴染みのある書物である(教科書には『であることとすること』『面とペルソナ』『歩きながら考える』等のタイトルで掲載されていた)。
本書は幾つかの講演を元に加筆されている。そのため著者が専門領域とする論文と比較すると格段に読みやすく、また“政治文化として見た場合の日本とイギリスの相違”や“近代国家と国民の関係”などを身近な事例から話し始めている。
著者がこの内容で話をする背景の1つに所謂“昭和史論争”があることは確かである。歴史学者と作家の間で繰り広げられたこの論争は“歴史の主体を何処に置くか”によって、描かれる歴史像が大きく異なることに端を発する。それは単に歴史学者のみならず、著者の専門である社会科学としての政治学にも多大な影響を与えたことは確かである。政治学にとっての主体を問う時、少なくとも1945年8月15日を境として形の上ではコペルニクス的転回を経ているが、この国では果たして本当に“転回”があったといえるのだろうか?との原点が著者にはある。そして、もし転回が本質的でなく単なる形式の上のことだけであるとするなら、“何がそれを支えているのか”との更なる問題意識がそこに働いている。
“国民自らが主体的役割を果たして近代を切り拓いてきた”ヨーロッパと“主体としてのお上に引きずられて近代を迎えた”日本の違い、それはそのまま現在の日本社会の縮図としても色濃く影を残している。
どなたかが書かれていたが、現代の日本にあっても著者が話した言葉や状況がそのまま当てはまることは、この国の不幸であると同時に国民側の怠慢でもある。
間もなく迎える総選挙で、今度こそ国民の政治意識が問われることは間違いない。それまでの間に本書を読み返し、自らを検証する作業も必要であろう。
近代日本思想の反省
★★★★★
2009-07-12
日本の思想とあるが、近代日本思想についての書籍である。
もともとは4つの文章を1冊にしたものとのこと。
1 日本の思想
2 近代日本の思想と文学
3 思想のあり方について
4 「である」ことと「する」こと
最後の「である」社会と「する」社会の混交について、夏目漱石を例に示している。
考える視点、文章を書く視点としても有益だと感じた。
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