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謎解き洛中洛外図 (岩波新書)

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  • メーカー: 岩波書店
  • JAN/ISBN: 9784004304357
  • 定価: ¥ 777
  • 売上ランキング: 161248 位
  • ★★★★★

カスタマーレビュー

史料を読み解きながら推論を重ねていく面白さに満ちていました
★★★★★2009-05-23
岩波新書の歴史書は内容の確かさに定評があります。黒田日出男氏の文章は読みやすいので、堅苦しい専門書といったイメージはありませんでした。

米沢市上杉美術館が所蔵している有名な国宝「洛中洛外図屏風」についての研究史を通して、各人の学説のポイントを整理して伝えています。それぞれの成果と疑問点を分かりやすく提示し、批判しながらも丁寧に解説した良書です。

6曲1双の上杉本の「洛中洛外図屏風」には約2500人もの人々が描かれ、京都の様々なお寺や名所、祇園祭や当時の庶民の生活が精緻な絵で描かれています。戦国の世における洛中や洛外の風景描写が映し出されており、我が国の至宝と言えるでしょう。口絵としてカラーで紹介してありました。小さくて分かりませんが。

章立ては、「謎」としての上杉本洛中洛外図、洛中洛外図の探究案内、研究史とその諸画期、「1547年の京都」説と反論・批判、「公方の構想」説と推理の立脚点、貴人の大行列と最初の仮説―永禄四年十二月二十三日、疑問と再考、史料の発見と「謎」の解決―永禄八年九月三日と天正二年三月、結論と新たな旅立ち、です。

筆者の結論は199頁以降に記載してありますが、「将軍足利義輝が盟友上杉謙信に贈るために、永禄7年(1564)年末か同8年初めに、若き狩野源四郎(永徳)に命じて制作させていたもの」としています。史料を数多く扱ってきた東大史料編纂所教授ですので、その導きの過程で使用した「上杉年譜」の元となった「(謙信公)御書集」からの推論もまた見事でした。各種の洛中洛外図などを扱った経験に裏打ちされた深い洞察力と詳細な解説は知的好奇心をくすぐるものでした。