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イスラエル (岩波新書)

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  • メーカー: 岩波書店
  • JAN/ISBN: 9784004311829
  • 定価: ¥ 819
  • 売上ランキング: 130297 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

わかりにくかった「イスラエル」のことが多少は見えてくるかも
★★★★2010-01-13
第二次大戦後も周辺アラブ諸国との戦争が絶えず、テロとそれに対する報復を繰り返しが日常化しているらしく、やたらと高いフェンスを築いたり・・・、そんなイスラエルって一体どんな国なんだろう、という興味からこの本を手にしました。

筆者はあとがきで、「本書の特徴は、イスラエルが事実上、・・・多文化主義に向かっていることを議論の前提としていることである。逆に言えば、多文化主義的性格のゆえに、イスラエル国民の多くはその反動として、ナショナリズム的な行動をとる傾向にある。」と述べています。

「イスラエル=ユダヤ人国家」ではあまりにも単純化のしすぎのようで、イスラエル国内のユダヤ人は、スファラディーム、アシュケナジーム、ミズラヒーム、ファラーシャ、・・・などとそれぞれの背負っている地理的・歴史的・文化的背景から分類されるらしい。しかも、その文化的差異は序列化されているとのこと。

シオニズムから建国を主導したのは欧米系のアシュケナジームだったが、建国後周辺イスラーム世界と対立を深める中、大量のオリエント系ユダヤ人ミズラヒームが流入したものの、両者の政治経済的「格差」は放置されてきたらしい。

そのような国内矛盾が「ホロコースト」の政治利用や極右政党の躍進に結びついている、というのが本書に描かれている大まかな流れになろうかと思います。



教科書的によくまとまっています
★★★☆☆2009-12-07
とにかく、無駄な描写は省き
事実のみを時系列で、訥々と追っていきます。

まさしく【イスラエルの教科書】

あまりに、事実列記なので
なかなか頭に入ってこないですが、
イスラエルという国が抱えた複雑さを知るには、良いと思います。
ミズラヒーム(=中東イスラーム世界出身のユダヤ人)という視点からみたイスラエル現代史
★★★★★2009-12-06

 政治史を中心に新書版一冊にまとめた、1948年の建国以前から建国60年を過ぎた現在にいたるイスラエル現代史。

 イスラエルにかんする本は無数に出版されているが、本書における著者の最大の功績は、イスラエル社会の現在の実態に即し、従来から日本でも知られている枠組みである、アシュケナジーム(=中東欧系ユダヤ人)とスファルディーム(=1492年のスペイン追放後、地中海沿岸地方に離散したユダヤ人)の違いよりも、アシュケナジームとミズラヒーム(=中東イスラーム世界出身のユダヤ人)の違いという視点からイスラエルを考察していることであろう。
 ミズラヒームは、モロッコ、イラク、トルコ、イエメンなどから、イスラエル建国後移民してきたユダヤ教徒である。彼らは、シオニズムという世俗国家の理念とも西欧流のライフスタイルとも関係なく、現在にいたるまでイスラエル社会の下層としての生活を余儀なくされてきた存在だ。

 本書は、一言でいってしまえば、ミズラヒームとパレスチナ人を含めたアラブ系イスラエル人という視点からみたイスラエル史である。
 イスラエル現代史とは、主流派であったアシュケナジーム中心の世俗国家から、多文化社会への変容によって、きわめて宗教色の濃い国家に変貌させてきた歴史である。
 これは、『見えざるユダヤ人』(平凡社、1998)で、ミズラヒームの存在を日本語でははじめて読める形として読者に提示した著者ならではの特色である。移民国家で、多文化社会であるイスラエルは、どのカテゴリーに焦点をあてるかで、まったく異なる像が描かれることになるからだ。

 イスラエル建国の中心となった、アシュケナジーム系のシオニストが主流派であった労働党が凋落し、ミズラヒームに加え、エチオピアやソ連崩壊後のロシア系移民も含めた出身地と、宗教的姿勢から複雑にカテゴライズされている現在のイスラエル社会は、著者がいうように、多文化主義性格をもつがゆえに、その反動として逆説的にナショナリズム的な行動をとらざるをえない傾向が強まっている。そうでないと国民がバラバラになってしまうという懸念につきまとわれているためだ。

 イスラエルという国家のアイデンティティはいったい何なのか。周囲を外敵に囲まれているという意識から、安全保障以外に国民の共通利害がないのか。
 また、還暦をすぎたイスラエルという国家は、今後どういう方向に進もうとしているのか。
 多様性と、ユダヤ性強化というナショナリズムとのあいだに存在するジレンマに引き裂かれる状況、これはイスラエルだけでなく、中国も含め、戦後独立した新国家にみな共通する難題であろう。

 本書は、一冊の新書本に情報を詰め込んでいるので、ちょっと読みにくいのは否定できないが、じっくり腰をすえて読めば、必ずや得るところは大きいはずだ。読む価値のある労作である。

 
日本人とイスラエル人
★★★★2009-10-24
山本七平の日本人とユダヤ人をひくまでもなく、イスラエルと日本ほどあらゆる点で対照的な国も無い、とばかり思っていた。が、本書を読んで実態は意外なほどに良く似ている、気がする。例えば戦後(イスラエルでは建国後)長きに渡って中道再配分政党の支配が続いたこと。その後も2大政党制にはならず、小党乱立・連立政で微妙なバランスを取っていること(これは日本では最近崩れたが)。そして、アシュケナジーム、ミズラヒーム、パレスチナ人という厳然たる階層と、超正統派ユダヤ教など様々な宗派が分立することで国民相互の分断が図られていることは、今日のわが国民の相互分断状況(例えばネット上で顕著な在日韓国朝鮮人、貧困層等への差別)に酷似する。
しかし考えてみればこれはグローバリゼーションに晒されるあらゆる国々に普遍的な現象なのかもしれない。ただ、それが一国内に収まりきらず、隣接するアラブ諸国や最大の支援国であるアメリカとの国際関係に密接にリンクしていることが、この国に特殊の困難さであろう。

イスラエル入門の良書
★★★★★2009-06-22
題名および新書という分量から想像がつくと思いますが、イスラエルに関する基礎知識を非常にコンパクトにまとめた本です。
主に政治史を扱っていますが、その背景にある文化や宗教なども知ることができます。

我々の想像以上に奥深く複雑で、多民族、多文化が絡み合い、近代民主主義と宗教的伝統の間で揺れ動いているイスラエルの現状、さらには、国際的な非難を浴びながらも不寛容を貫き、強硬姿勢を崩さない事情も垣間見ることができます。

イスラエルは建国以来60年間で18回の議会選挙を経験しているのですが、議会の過半数を獲得した政党はひとつもなく、すべて連立内閣であり、その上各政党の寿命は短い。
したがって、歴史の短さのわりに登場人物は結構多いのですが、本書はかなりすっきり整理されています。

今日の国際情勢を知る上で、この不安定な小国が抱える問題は不可避です。
多くの日本人がしている誤解(イスラエルはホロコーストの結果生まれた、イスラエルはユダヤ教の宗教国家であるなど)も、その実情が分かりやすく解説されています。
多くの人に読んで欲しい良書です。

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