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ゆたかな社会 決定版 (岩波現代文庫)

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  • メーカー: 岩波書店
  • JAN/ISBN: 9784006031374
  • 定価: ¥ 1,365
  • 売上ランキング: 113805 位
  • ★★★★★

カスタマーレビュー

豊かな社会における貧困を考えるために読んでみませんか
★★★★2010-02-12
経済音痴の私でも面白く読めました。
豊かな社会に貧しい人々がいる。これが先進国における
国内問題としての貧困の姿でしょう。
豊かな社会における貧困をどうするか。このわが国喫緊
の課題を考える上でたたき台となりうる一冊です。
最後の「新しい階級」の話が面白い。
「階級」って手垢にまみれた古い言葉ですが、でも
未だ生きた言葉なんだなとしみじみ思いました。
社会的バランス論の今日的重要性
★★★★★2008-07-06
ゆたかな社会では、喫緊の必要はほぼ満たされているために、それでもなお消費支出を増やすよりは、不測の事態に備えて貯蓄することになるだろう。つまり、財布のヒモが堅くなる。そのため、堅くなった財布の紐を緩めさせるための、あの手この手の誘惑=広告の重要性が増す。あってもなくてもよいような需要に人々を引き付けるためのあの手この手の工夫が凝らされるのと対照的に、医療や教育など、より基本的な必要がみたされていない人が放置される。このアンバランスさをアンバランスさとして問題視するのが、ガルブレイスの「社会的バランス論」だ。

そこで、課税と喫緊の必要をみたさねばならない人への補助を通じたバランスの回復が目指されることになる。実際、北欧の福祉国家形成にも影響を与えたそうで、今日、社民的なものを考える上でも大変重要な古典だと思います。
マル経でもなく、近経でもなく・・・・
★★★★★2008-06-19
 ガルブレイスの経済学上の立場は、「有閑階級の論理」でおなじみのヴェブレンと同じく制度派に属することになるのだろう。その著作は、階級闘争見え見えのマルクス経済学でもなく、数学マニア志向の近代経済学でもなく、さりとて両陣営をまったく無視するわけでもないということで、心地よい経済読み物になっている。この本も当たり障りのない「文明批評本」になっている。
  
 同じ民主党系経済学者の情けからか、サムエルソンの「経済学」には、「拮抗力」というガルブレイスの「経済学」上の数少ない学問上の貢献が述べられていたことを思い出す。しかし、これだけ。ガルブレイスは、純粋学問としての経済学と直接関係のないこの「ゆたかな社会」とか「バブル経済」といった経済評論本ないしは、文明批評の領域で有名になってしまった。
 
 60〜70年代に学生時代を送った我々にとっては、「ゆたかな社会」を読んでいるということは、高度経済社会に対する一種のアンチテーゼを提示しているようで、「かっこよさ」の証しでもあった。過激な学生運動に突っ走る気もないノンポリ学生にとっては、特に! 
 今こうしてこの本が岩波文庫に入った「決定版」を再読してみると、ケインズ「一般理論」同様、妙に懐かしさを感じるものである。
 
ゆたかな社会に潜む罠
★★★★★2008-03-20
ガルブレイスの主著だが、決して難解ではなく読みやすい。
どちらかというと経済学の書というより、経済読み物に近い気がする。

前半では、スミス、リカード、マルサスからマルクス、ヴェブレン、ケインズまで経済思想史が面白く書かれている。
さらに深く経済思想を知りたい人は『入門経済思想史 世俗の思想家たち』を読むといいだろう。

後半では、ゆたかな社会に対して既存の経済学が失敗していることを指摘する。
まず、経済学が、物資の生産の優位、すなわちものをいっぱい作れること、能率が最大になること、が最良の状態であること、を前提としていることを指摘する。
しかしそれでは社会の失業と貧困は不可避のものとなってしまう。

また、インフレ対策として既存の経済学は公定歩合の引き上げを提示するが、それではインフレは収まらず、逆にその対策だと貧困層や中小企業がますます苦しくなるのだ。
インフレ対策には、限定的な統制が必要なのだ。

今のゆたかな社会では、市場を通す財に比べ公共財が著しく軽視されている。
物的資本にのみ注目が集まるため、人的資本は軽んじられる。
また、貧困層が少数派になってしまったので、貧困が無視できてしまう。
しかし、ゆたかな社会に必要なのは、これ以上の物資ではなく、幸福なのだ。


今日の格差社会を念頭に置いて読んでみると、彼の指摘がまったく古びていないことがわかる。
読みやすく今日性もあり、もっと多くの人に読んでいただきたい本である。
ロックフェラー(リアル)とガルブレイス(ロマン)
★★★★★2007-09-29
ジョン・D・ロックフェラー
「大企業の発達は適者生存にほかならない。……美しく香り高いアメリカン・ビューティ種のバラが作られて、
 みる人の喝采を博するのは、そのまわりにできた若芽を犠牲にしてはじめてできることなのだ。」
「これは経済におけるわるい傾向ではない。それは自然の法則と神の法則の作用にほかならない。」
ガルブレイス
「ゆたかな社会に欠陥がないわけではない。しかし、ゆたかな社会は、
それ自身のもつ有害な傾向ないしは破壊的な傾向から救うだけの価値は十分にあるのだ。」
「ゆたかな社会のおける貧困の除去を社会的・政治的な日程に強力に載せようではないか。」

豊かさを支えるものは貧しさである。それを広言したロックフェラーに対し、自覚するに止めることで不可能を夢見たガルブレイス。
ガルブレイス(ロマン)を学ぶことの難しさは、ロックフェラー(リアル)を忘れがちになることにある。