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哲学の教科書 (講談社学術文庫)

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  • メーカー: 講談社
  • JAN/ISBN: 9784061594814
  • 定価: ¥ 1,155
  • 売上ランキング: 20271 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

良い
★★★★★2010-03-07
哲学の入門書を探している人は読んでみてはどうでしょう。まったくの初心者の私でも楽しく読めました。
哲学とは解けない問いにどうしようもなく引きずり回されることである
★★★★★2009-09-05
哲学とは、「どうせ人は死んでしまう。そもそも、今生きているこの世界が次の瞬間全く消滅してしまうことが無いという保証は無い、いやそもそも昨日の私と今日の私は一体同じ人間なのか。」等等、誰もが考えなかったり、思いついても目をそむけて知らぬふりを決め込んでいる「問い」に対して、どうしようもなく追いかけられ、引きずり回されてしまう病的な行為なのだと著者は言う。従って、著者は、哲学は何の役にも立たないと断言するが、哲学することによって、何でもない日常の貴重さが解かり、普通の毎日が輝いて見えるとも言う。哲学に自分の人生をかけている著者の言葉には迫力があり、思いが伝わってくる。カントの「純粋理性批判」を電車の中で読むことは、エロ本を電車の中で読むように恥ずかしいことでどうしてもできないと著者は言う。そう言われるとあの小難しいカントも真剣に読んでみようかという気になってくる。哲学を学ぶのに勢いをつけてくれる素晴らしい本。内容もとても読みすい。
初めて哲学が理解できた
★★★★★2009-06-05
プラトンの「国家」を含めて主にギリシャ哲学の本はいくつか読んだことはありました。「国家」でのレビューのように、このあたりは普通に読めます(会話調だし)

ただ中世以降の西洋哲学は完全にお手上げ。「なぜ哲学書とはこんなに難解なのか!?全く読めませんけど?」と十数年来思ってきました。そのような自分が偶然出会ったのがこの「哲学の教科書」です。どうせ難しいんだろ・・・とあまり期待せず読み始めたのですが、正直驚きました。あまりのわかりやすさに!

哲学とはどういう学問か、を理解するためにはこれ以上の本はないように思います。素晴らしいの一言。ただ、これを読んだからといってカントやハイデガーがスラスラ読めるようになるわけではありません。しかし少なくとももう少し哲学の世界に足を突っ込んでみてもいいかな、という気にはなりました。

子供にぜひ読ませたいですが、その前にも自分が十分咀嚼したエッセンスを話して伝えたいと思います。

中島先生、ありがとう!
「哲学すること」と「哲学を語ること」のあいだ
★★★★2009-04-24
 二人の中島義道がいる。哲学者中島義道と、エッセイスト中島義道と。むろん中島義道はまず哲学者であり、前者がなければ後者はない。しかし幸か不幸か、一般読者が支持(もしくは嫌悪)しているのは、圧倒的に後者の中島である。
『ソフィーの世界』がベストセラーとなり、哲学ブームなどという言葉がささやかれ始めた最中に発売された本書(オリジナルは講談社のハードカバー)は相当の売り上げを記録し、皮肉なことに中島の出世作となってしまった。哲学者中島は哲学ブームなどというものを信じてはいなかったであろう。しかし結果的に本書を境に中島の読者層は二つに割れ、中島自身も二人に分裂した。
 本書において中島は「哲学するとはいかなることか」ということを「いかなることが哲学することでないか」ということを通じて逆説的に語ろうとしている。その成否はともかく、そこで語っているのは哲学者中島ではない。哲学について語ることは哲学することではないと言っていたのは、ほかならぬ中島自身ではなかったか。哲学者の本分は哲学することであるはずなのに、哲学について語ることによって中島はその本分を一旦放棄してしまった。
『哲学の教科書』という皮肉な(そして秀逸な)タイトルからして、本書が哲学書でも哲学入門書でもないことは明白である。『教科書』と銘打たれた教科書はない。「哲学とは何でないか」をいくら語ったところで、ましてやそれをいくら読んだところで哲学したことにはならない。だが本書によってデビューしたエッセイスト中島に読者は熱狂し、哲学者中島はその熱狂に半ばかき消されてしまうこととなった。
 このような本を書くことができたのは、むろん中島が正真正銘の哲学者であったからにほかならない。しかしエッセイスト中島という分身が、産みの親である哲学者中島を食い尽くすことにはならないだろうか。両者を器用に演じ分けているように見える中島の分岐点とも言える本書は、その功罪が問われるという意味では中島義道最大の問題作と言えるかも知れない。
哲学者の生態とその実用可能性
★★★★★2008-07-26
哲学は何であって何でないのか。哲学者とはいかなる人種なのか。哲学は何の役に立つのか。こうした、知っているようで意外と分からない哲学のすがたを丁寧に説いた教科書です。デカルトやカントなどの有名な哲学者の名前も出てきますが、それらはあくまで著者の主張の例示としてであって、いわゆる哲学史や「哲学者」学の教科書とは一線を画しています。新聞のコラムなどで見かける著者のエッセイはひねくれたものが多いですが、この本ではそうした毒は抑えられ、とても誠実な語り口が貫かれています。

哲学的な問いの何たるかと、それに絡めとられることの恐ろしさが、著者自身の体験と実感に基づいた記述から生々しくつづられていますが、私も含めて、通俗的な日常を送っている多くの読者にとってそれは、理解はできても十分には共感できない代物でしょう。しかしながら、私たちの認識や日常は、自明のようでいて実は全く自明ではない無数の前提の上に成り立っていることと、そうした問題に対して無意識ながらも思考停止することで私たちは日常を送ることができるという事実は、頭の片隅で常に意識しておいて損はないはずです。(こと、死に関しては。)

哲学とは、そうした日常のあらゆる前提を徹底的に疑うことであり、それに対する普遍的な答えなり理論なりを精確に論証して、相手の実感に響く言葉で納得させることを試みる営みだそうです。こうした方法論そのものは、学問を志す者はもとより、常に現状を改革すべき実務家にも求められるものです。もちろん、哲学者でなければ、何から何まで疑う必要はありません。疑うべきものを疑うべきときに適切に疑えれば十分でしょう。

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