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深い河 (講談社文庫)
メーカー: 講談社
JAN/ISBN: 9784062632577
定価: ¥ 620
売上ランキング: 6212 位
★★★★
☆
カスタマーレビュー
ガンガー
★★★★
☆
2010-02-06
一人旅でインドに行ったことがある。
暑くて、汚くて、騒々しくて、臭くて、ずるくて・・・。
なんなんだこの国!と叫びたくなる。
暑くて、汚くて、騒々しくて、臭くて、ずるくて・・・。
なんでこんな国に来てしまったんだ、と後悔したくなる。
でも夕暮れ時になると、インドのすべては、ガンガーへとたどり着く。
ガンガーは、暑さも、汚さも、騒々しさも、臭さも、ずるさも、すべてを受け入れる。
その細い体ですべてを背負い、疲れきっているのにすべてを抱きしめる。
ヒンドゥ教的輪廻観も、仏教的輪廻観も、キリスト教的観念も、ガンガーは愛する。
人々の毒素を、苦しみを、思想を、限界を、現実を、ガンガーは包み込む。
なんという深い河だろうか。
暑くて、汚くて、騒々しくて、臭くて、ずるくて・・・。
でもガンガーに受け入れられたくて、懲りずにまたインドへ行くのである。
消化不良
★★
☆☆☆
2009-08-14
風呂敷広げてきちんとたたまない(たためない?)感じ。
エンディングに向けてまとめるのが面倒くさくなったような唐突な終わり方に不満が残る。
わずかに美津子だけが心の変化を受容するが、
他の登場人物の心の変化はさほど描かれず、
全編を通して動きのあるシチュエーションの描写にも筆が足りず、消化不良。
磯辺には生まれ変わり(の確証)を見つけて欲しかったし、
大津のその後(最期?)も描ききってほしかった。
取り上げたテーマを料理しきれなかった、
力量・気力不足を露呈した残念な作品。
何度読んでも飽きの来ない懐の深さ
★★★★
☆
2009-06-29
本作発売は何時の頃でしょうか、確か15〜6年ほど前に若い者には珍しい病気で入院している折りに近所の本屋へ無断で出掛けて買ったのが最初だと記憶しています。
妻を亡くし今まで顧みることもなかった妻との生活、妻の居ない自分、老後。
様々な事を考える時間をもとめていた中で旅先に選んだインド。
ガンジス川のほとりで汚い水の中沐浴をする多くの人々、その横で人間の屍体をそのまま流す葬儀屋。
市民の生活にも使われある時は洗い場、ある時は風呂、ある時はトイレ。
それでもそんな河を人々は神聖なモノでありそこに在るのが自然なモノとして受け入れ崇める。
旅をともにした日本人ツアーの他のメンバーとの打ち明け話などを含めて徐々に今までの自分とは違う自分を感じるようになる主人公。
大きな泣き所のある訳でも、説教臭いわけでも、インド崇拝をしている訳でもありません。殆どが日常生活の目線で描かれ、人々の日常が自分にとってはドラマであり、他人にとっては普通の出来事でしかないという現実を洗い出していく。
遠藤周作作品いろいろ読みましたがクリスチャンである氏の作品にしては珍しい宗教色薄い作風に驚いたのと、20歳前半に読んだので年齢的に死など遠い世界の話と普段は気にも止めず感情移入も出来ない作品だったのでしょうが入院中であり同じ病室のお爺ちゃんが入院中に亡くなられたこともあり死と隣り合わせの場所に居た現実が本書の世界を近づけてくれました。
以来、人にあげたり、亡くしたり、都合4冊までは買い足したことを覚えています。
今手元にある単行本は装丁が画像と異なりますが私にとって何代目の「深い河」なのでしょうか。
一生、手元に代替わりしつつ残しておきたい一冊です。
河のゆくえ
★★★
☆☆
2009-06-26
様々な立場や、考え方、そして思いを胸にインドのガンジス河に向かう旅行者の群像劇です。妻に先立たれ、妻の最後の一言に生きる「かすかなしるし」を見出そうとする磯辺、磯部の妻の看護を通して知り合うことになった自身の殻が厚く、その厚みに困惑している女成瀬、童話作家で身代わりの鳥に何らかの供養を必要としている沼田、第2次世界大戦でビルマを敗走した経験を持つ木口、共に欲望と思考に段差の無い三條夫妻、そして汎神論者であり、かつカトリックであることを求める大津...それぞれの意味で、それぞれにとっての深い河が、立場が、また決意が見られます。納得のいくものもあれば、なかなかうけいれられない現実があったり、少し作者の作為が透けすぎる行動をとる登場人物もいますが、おおむね納得できる物語でした。
意味を持たせるなら、作者の作為が感じられなくなるくらい作りこんだものを好む傾向に私はあることを自覚しておりますが、素朴さからしか立ち上がりえない何かがあるのもまた事実です。私個人としては1番気になったのはやはり「成瀬さん」なのですが、成瀬さんのモノローグがあるにも関わらず、いまひとつ釈然としない、あくまで小説の中の登場人物のような作者の想いを代弁させられている感がありましたが、それでも何事にも心を強く動かされることの無いリアリティは感じられましたし、そこはかなり良かったです。
時代として『そういうものであった』と言われてしまえばその通りなのかもしれませんが、それでも私は想像することが出来なかった、あるいはその機会を捉えなかった以上はその重みを背負うべきに感じさせる磯辺さんと妻の関係性について、特に気にかかる部分でした。非常に都合よい解釈が続く中で個人的には悲しむべき資格が無いように思いましたが、それでもなお、行動させられる磯辺さんそのものについての「どうしようもなさ」には共感も出来ました。未来が見えないからこそ、どんなに想像を巡らせていても有りえるであろう予想外の何かが起こったとき、そしてそれに深く後悔を思うときに、突き動かされる心の動きが。
そして大津さんのあくまで愚直な、生活の中から浮かび上がる信仰の行く先にも、考えさせられました。カトリックや信仰そのものに対しての理解が私はまだまだ少ない私でも、汎神論をキリスト教的異端として扱われるものに、違和感を覚えますし、感情として何かを感じ取るという生活を変えることは信仰のチカラをもってしても難しいものであると思います。感じる心、感覚をなくすことが唯一神への信仰であるならば、たとえその行き着く先に幸福が待っていようとも、なかなか難しいことになりそうですし、「論理だけではありえない何か」を感じるには「論理で説明できるものには、論理を徹底させた」後でしかありえないと私は思います。唯一神の思惑は常に人の思考の先であるはずですから、様々なものに、その唯一神の何かが波及していると捉えることも可能であろうかと思いますし。「玉ねぎ」という比喩はとても面白い比喩であると思いました。
最後の終わり方には、非常に驚かされましたし、このような小説を書かれる方からは想像できない(私には)最後でしたが、とてもよい終わらせ方だとも思います。
信仰に興味のある方に、インドに興味ある方に、オススメ致します。
微妙……。
★★★
☆☆
2009-03-16
成瀬の乳房をいじらせて貰っていただけの大津が、
なぜか自分と成瀬が結婚を前提とした関係になっていたと錯覚し、
それを親に報告までしていた点はやや頓珍漢に思え、
作者の意図しなかったであろう面白さを感じた。
まあ、上はどうでも良い話である。本題に入ると、
大津が「玉ねぎ」に仕えようとする理由づけは良いと思ったが、
わざわざカトリックのカテゴリに留まろうとする理由が不明瞭だった。
大津がカトリックであることについては、
「大津の母がそうであり、家庭がそうであったから」という以上の説明はなされない。
西洋のキリスト教が自分に合わないなら、それは良い。けれど、どうしてカトリックなのか。
どうして強引にカトリックの職である「神父」を志望し、
挙句インドで死体を運ぶ破目になる必要があるのか。
教義が気に食わないなら儀礼だけ採用して、自分流の信仰を作っても良かったのではないか。
正統のカトリックでなければ「玉ねぎ」を信じられないという理屈はない。
しかし大津のしたことは「カトリック=玉ねぎ」という思想を、
無意識のうちに頑なに貫くことであったと思う。
もしかしたら、作者の持つ「キリスト教=カトリック」という意識の表れなのかもしれない。
この点はやや排他的に思われた。キリスト教はカトリックのみではない。
汎神論者が個人的にカトリックの儀礼を採用して信仰するのはダメなのか。
総じて★は三つとしたい。
作者が真顔で書いてくれた綺麗事は、読むと心洗われるが、
筋書きとしてはやや中途半端な感じがした。
最後のほうでお説教の垂れ流しになってしまった感もある。
磯辺の結末を説明した箇所などは、完璧にお説教一色であり、現実感に乏しかった。
そして筋書きには関係ないが、三條夫妻は何らかの罰を受けるべきであった。
ウザいキャラクターには罰を与えて欲しかった。胸糞が悪い。
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