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代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳 (集英社新書 492B)

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  • メーカー: 集英社
  • JAN/ISBN: 9784087204926
  • 定価: ¥ 735
  • 売上ランキング: 179163 位
  • ★★★☆☆

カスタマーレビュー

まずは問題点を知ることから
★★★★2010-01-25
 1955年に生まれ、米国で化学と基礎医学を学んだジャーナリストが、2009年に刊行した本。代理出産とは夫婦が他の女性に自分たちの子どもを産ませる生殖補助医療であり、代理母と子どもの間の遺伝的なつながりの有無により、人工授精型と体外受精型に分かれる。これは不妊の夫婦にとっては子を持つための最後の手段であるが、特にそのビジネス化が進んだ米国でさまざまな問題を露呈した。それは例えば、代理母の身体的・精神的リスク、代理母と親族との不和(代理母の実子への悪影響も含み、姉妹間の無償代理出産でも生じる)であり、子どもへの代理母の愛着による親権・養育権争い(ベイビーM事件など)や、障害児や依頼夫婦離婚時の引き取り拒否問題、親子関係の混乱と子どもへの悪影響(周囲の無理解も含む)である。しばしば代理出産では、国内外の貧しい女性と子どもが犠牲になっており、有償代理出産は赤ちゃん売買であるという批判も絶えない。そのため、欧州では総じて代理出産に厳しい措置をとっているが、海外や水面下の動きを考慮すれば、実際には全面禁止は難しい。著者はこのように、人為的な生命操作の危うさを強調し、子どもの有無が即幸福ではないとして、日本でもきちんと議論をした上で、慎重な法整備が必要だとしている。ただしその著者が、こうした問題の多くを回避できる根津医師の限定的な方式を前に、容認か否かという白黒的な考え方の危険をも指摘していることには、注目すべきであろう。代理出産には確かに問題もあるし、それはきちんと直視しなければならないが、それは即全面禁止すべきだということを意味しないし、私自身も慎重な方式でそれを進めていくことには賛成である。この点については、沢見涼子・根津八紘『母と娘の代理出産』(はる書房、2009年)が、基礎的な事柄も含めて参考になるだろう。
マスコミ界の汚点。
☆☆☆☆2010-01-04
この大野和基という「国際フリージャーナリスト」は、以前からおどろくほど執拗に、粘着的に、代理出産批判を続けている。この本も、過去に書いたスキャンダル的記事の域を出なかった(薄い新書であるのに…)。2010年、すでに自分の主張と、現実があまりにも乖離していることに著者は気付かないのだろうか? すでに、過去の産物の情報であり、「貧困層のブリーダー化」というのは、現代の国内議論とあまりにかみ合わない。
では、この著者は、無償であれば、代理出産に賛成なのか? (無償であれば、出産費用の実費はどうなる?)
この人物の批判の標的は、あくまで、数十年前のアメリカに見られた高額の有償代理出産であり、ボランティアで実施される代理出産にはそもそも、当てはまらない。すでに議論がずれている。代理出産批判としての主張の中身が脆弱で、時代遅れの感が否めない。それでは、批判派として、あまりにあやふやな攻め方で、むしろ批判派の人たちにとって害になる人物である。

あいかわらず、短絡的な「出産の危険性」「金銭目的」ばかりの、決めつけ主張のオンパレード。この人物の代理出産にかかわる記事で、まともなものを目にしたことがない。(なぜ、こういう人物に限って、ジャーナリストと名乗りたがるのだろう。)

そもそも、この人物の生命に対するスタンスは何なのか? 「命の尊厳」というありふれた、しかし強い言葉を使うならば、「中絶」に関してはどう考えているのか? 「体外受精」についてはどう考えているのか? 不妊治療についてはどこまでの見解を持ち併せているのか? 臓器移植についてはどう考えているのか? ……なぜ、代理出産に対してだけ、これほどまでの“執着”をこの著者はむき出しにするのか? …むしろ、このことのほうが不可解である。

「命の尊厳」という言葉を使う著者自身に、生命と向き合う真摯な姿勢がまったく見えない。正義感も見えない。誠実さも見えない。そういう人物が、生命を語ること自体に、非常に違和感を感じる。この虚勢を張った「ジャーナリスト」なる人物に、命の何がわかるのか、疑問。
重要な知見に富む一冊
★★★★★2009-10-29
代理出産について「最先端」のアメリカ事情のルポ。著者は、アメリカでたまたま知った代理出産裁判をきっかけに、「生殖医療の技術がビジネスに」なり、「家族のあり方や生命の倫理の考えを変えていくという事実に」衝撃を受けた、という。一見、むずかしく地味なテーマにみえるが、よく考えれば、これは遠い国の話ではなく、日本でも、法制化を含み、真剣に考えていかなくてはならない重要な問題である。具体的なケースの取材にもとづく知見は貴重である。
 医学に限らず、各方面の取材で活躍している人らしく、読みやすくテンポのいい文章。欲をいえば、アメリカ通の著者にとっては当たり前でも、日本の一般読者にはわかりにくいことも多々あるので、より詳しい背景説明があったほうがいいところがあるかもしれない。また、著者自身は、どうしてこのテーマに本腰を入れて取り組むべきと直感したのだろう。著者に長年、取材をつづけさせた動機、情熱は何だったのか、もう少し語ってもらえたら、一段と説得力のある本になったような気がする。
読後感
☆☆☆☆2009-09-29
悪く言えば週刊誌によくあるような記事の寄せ集め的な、ジャーナリスティックな本。色々と事例は集めているがアメリカの事例に偏っている。今後代理出産を社会の中に根付かせていくかという問いには答えていない。この問題は少子問題とも関連しているので建設的な提言が必要だろう。
認めるべきか、禁じるべきか、それとも・・・・
★★★★★2009-06-21
本書は、アメリカで基礎医学を学び

現在は政治、経済、文学など

様々な分野で活躍するジャーナリストである著者が

代理出産の現状を概観する著作です


海外の事例やインタビューを元に

代理出産にまつわる議論状況や

関係する人々、そして法制度などを概観します。


子どもを切望する夫婦、代理母

代理出産を行う医師、そして代理出産を推奨・斡旋する業者や政府

そして、さまざまな論理を駆使する弁護士―

情緒的・感情的になりやすい問題なので

インタビューに応じた当事者たちの主張もそれぞれ異なります。


筆者は、そうした多様な意見を客観的に検討・分析するのではなく

取材の過程で感じた困惑を隠さずに表明し、

そのうえで、子の自己決定権を配慮することと

どんな形にせよ早急な法整備で解決することが必要と主張します。


代理母の出産に立ち会った依頼者や

「子どもは商品ではない」というレポートを書いた代理出産で生まれた子

など、紹介される代理出産の個別事例も興味深く

制度論や立法論、社会学的な観点からの検討をするだけでなく、

個々のケースを知る必要性を深く感じました


代理出産の実態とメリット−デメリットを

平易な文章で多角的に描いた本書。


代理出産に関心をお持ちの方はもちろん

最先端医療や生命倫理などに興味のある方など

幅広い方に読んでいただきたい著作です。

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