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分身 (集英社文庫)

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  • メーカー: 集英社
  • JAN/ISBN: 9784087485196
  • 定価: ¥ 730
  • 売上ランキング: 2539 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

科学技術は正しく使おう
★★★★2009-11-17
読み終わって,分身というタイトルには,著者の科学技術に対するいろいろな思いが込められていると感じた.著者は大学で電気工学を専攻し,エンジニアとして勤務していたという経歴の持ち主であるので,科学技術は万能ではなく,それを利用する人の判断により,危険と隣り合わせであるということについて身をもって感じているのではなかろうか.詳細はネタばれのため,書かないが,本書の終わり方は,読者にこのテーマについて,熟考してほしいという著者の願いであろう.特に次代を担う子供や若者に読んでいただきたい.

小説の中で次のような記述がある.「自分の生が間違いないといいきれる人間なんて,この世にいるんだろうか.同時にこうも思う.自分が誰かの分身でないといいきれる人間なんているんだろうか,と.むしろ誰も彼も,自分の分身を求めているんじゃないのかな.それが見つからないから,みんなは孤独なのだ.」深遠で哲学的な記述ではあるが,多くの人に生きる勇気を与えてくれるであろう.
出生の秘密モノの新パターン・・・
★★★★2009-11-08
 最近の海外トピックスで、精子バンクの一番人気はベッカム似なんてのがありましたが、この物語は、氏家鞠子サイドと小林双葉サイドの交互の章から展開させ、瓜二つとされる未遭遇の2人が、各々別々に同時期に、自分自身の出生の謎を追いながら、次第にその背景が、解明されていくというものです。
 発表が連載小説らしく、各章適度な長さでまとめられ、各章を読み進めるにつれ、一つづつくらい謎の糸がほぐれ、先の推理もしやすく ミズテリーとしてオーソドックスな轍を踏んでいるんだと思います。
 行き過ぎた医療を扱う点では、氏の「変身」はやるせなかったが、本作は、親子の絆に希望がもてる風の読後感もあり、好印象。
 
DNAは嘘をつかない。
★★★★2009-09-17
東京と北海道、双葉と鞠子、交互に入れ替わる一人称。最初は、つながりのない二人が徐々に近づいていくていく過程が、サスペンスドラマを見ているようで非常にスリリングで面白いです。最後のシーン、これからのふたりを思うと少し胸が痛みました。
秘密 (文春文庫)
ややご都合主義的
★★★☆☆2009-06-21
せっかくの素材がミステリー仕掛けにしてしまい欲求不満。
一気に最後まで読ませる筆力はさすがだが、重要な鍵を握る記者が唐突に出てきたり、両親の心理がいまひとつだったりする。今の東野さんのレベルでリライトすればかなりのものになりそうなところが実にもったいない。
中位の出来です。
最高傑作!
★★★★★2009-06-17
東野圭吾氏の作品はどれも素晴らしく、次の展開が気になり気づいたときには一気に読んで
しまう程であるが、本作品も期待を裏切らない素晴らしい作品だと思う。

1990年当時の時代背景の中で「クローン人間」問題を取り上げたその才能にも敬意を評すが、
私が一番感銘を受けたのはこの物語を通して出てくる「母」という存在である。

鞠子の育て母はずっと鞠子が自分に似てないことを感じながらも母親として振る舞い、そして
実は自分の遺伝子とは関係ない子と知って一家心中を試みながらも最終的に鞠子の命を救う。

双葉の育て母はクローン実験として当初は中絶を予定されていたにも関わらず、いわば他人の子
である双葉を出産し母として双葉を育て上げた。

クローンという単なる医学的倫理問題のみが取り上げられますが、自分はこの2人の「母」から
感じ取れる「母性」というものの素晴らしさ、壮大さという隠れたテーマが非常に秀逸に描かれて
いたと思います。

そして最後の鞠子、双葉の初対面のシーンは燃え盛る実験場を背景としてラベンダー畑の中で
幻想的な出会いとして描かれ、「その後二人はどうなった」などという野暮ったい現実的なシーンを
排除した非常に綺麗なシーンで物語を終えているところにも東野氏の才能の高さを感じずには
いられない。

当作品は人によって感じ方は違うと思われるが少なくとも私には最高傑作として感じ取れました。

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