• 価格比較・グッズ情報

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

の画像
  • メーカー: 新潮社
  • JAN/ISBN: 9784101104263
  • 定価: ¥ 620
  • 売上ランキング: 1391 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

激しい労務対策の末に
★★★★2010-03-07
 読み終えて実際のモデルとなった航空会社が事実上経営破たんしたことを
考え合わせると、著者の警鐘が何の意味もなかったのではないかと考えさせ
られてしまいました。
 経営破たんという現実から、過去をさかのぼってみるとその誤りがはっきり
とわかるとおもいます。
同僚に対して、自分だけ逃げるわけにはいかないという、面子の重さ
★★★★2010-03-04
 現在マイ山崎豊子ブームです。「大地の子」を全巻読破してから、「沈まぬ太陽」、「華麗なる一族」、
「白い巨塔」と各一巻を購入し同時並行で読み進んでいます。通勤・移動時間は楽しい読書タイムです。

 どれも外れがないですね。とても女性の筆致とは思えない力強い文体と綿密な取材力に、いつも驚かされます。
さて、今回の「沈まぬ太陽」ですが、現在話題の日系航空会社が舞台ということで読み進めました。

 1960年代から80年代が舞台ですが、現在とは組合の位置付けがずいぶんと違うなと感じました。
「全組合委一律の賃金アップ」というのは、現在は適切な要求ではないと思います。確かに、今回の物語の
舞台の企業と時代であれば、ボトムアップということで意義があったのでしょうが、現在では「優秀な社員」
「普通の社員」「頑張り・能力が足りない社員」と分けて報酬・評価を考えるべきです。

 組合の意義としては、毎年適切な人事評価・査定システムになるように要求・監視していくのが今の時代
の組合だと思います。「世間並み」「業界標準」というのは、私は違和感を感じます。これでは、子供が他
の友達よりも小遣いが少ないと文句を言っているのと同じ次元のような気がします。各家庭の資産や教育方
針、必要な小遣いは異なって当たり前です。

 会社が期待する目標に対しての達成度を持って、給与を査定するのが本来ではないでしょうか。日本の企
業は目標すら細かく具体的に文面化して、フィードバックしていない根本的な問題もあると思います。

 今回、舞台の日系航空会社が破綻をしましたが、組合が強すぎて賃金水準が高く、福利厚生が良すぎたの
が原因の一つだと聞きます。確かに、1巻を読む限り組合の要求がどんどんエスカレートしていくのが分か
り、現在の片鱗があったと感じます。

 組合が強すぎて、会社が倒れてしまっては意味がありません。社員には自分から退社する権利がありま
す。もし、どうしても今の会社の賃金や待遇、人事に納得がいかなかったら、転職すればいいと思います。
70年代は現在と違って、転職のマーケットや文化がなかったのでしょうが、できないこともなかったはずです。

 家族や健康、自分の信念を曲げてでも、会社に残る必要があるのでしょうか?やっぱり、同僚や上司に対
して、自分だけ逃げるわけにはいかないという、面子があったのでしょうか?

 もし、恩地が倒産をしてしまった現在の会社の末路を知ったら、どう思うのでしょうか。話を聞いてみたいと
思いました。
面白いです
★★☆☆☆2010-01-23
大先輩の薦めで初めて山崎豊子を読みました。清水一行や高杉良と較べて、自然科学への造形が深いように思えました。一方で村上春樹のような凶暴性がなく、品性に収まった印象も受けました。
高度経済成長に必至で仕事に向き合った方の本棚をみると、労働組合関連の書籍が沢山ありますが、その世代に近い方はよりこの本に共感できるのではないでしょうか。

それにしても、女性なのに、ここまで男性の心境の深いところを理解している人がこの世にいるなんて。正直、怖いです。
著者の強い使命感に感服した
★★★★★2009-12-16
本書は週刊新潮で1995年から足掛け5年にわたる長期連載の後,全5冊の単行本として,新潮社より1999年に出版された.単行本5冊で,全1,727ページという超大作である.本書の最後にはフィクションという断りはあるが,実際には膨大な資料や関係者とのインタビューを通して,得られたノンフィクションの箇所が大部分を占めているのではなかろうか.

本書を執筆するきっかけについて,著者はあるインタビューで,以下のように語っている.
“前作の『大地の子』を書きあげてから,主人公の陸一心さんが私の胸の中に座ってしまって何も考えられなくなっていました.学生のころからキリマンジャロを見ながら死にたいというロマンチックな気持ちを持っていた私は,自分の気持ちをなんとか動かさなければとアフリカへ行くことにしたのです.私は未知の国に行くときは,時間をムダにしないように,その国をよく知っている人を探すことにしています.そのとき後に小説の主人公の恩地元さんの原型ともいうべき人に出会いました.”

つまり偶然,本書の主人公のモデルとアフリカの地で出会ったのがきっかけというのである.その後,取材を行うにつれて,主人公が会社から受けた差別,腐った会社組織,政官業癒着の構造が明らかとなった.取材や週刊新潮の連載の過程で,著者に対して取材妨害や誹謗中傷がかなりあったようだが,主人公やその家族の受けた苦しみ,520名の犠牲者の声なき声,それから遺族の思いを世の中に伝えないといけないという使命感で,本書を書き続けたという.著者の強い意志と思いには敬服せざるを得ない.

最後にお遍路になって巡礼に旅立つ老人の姿が描かれているが,それは墜落事故で犠牲になられた520名の犠牲者の遺族の心が凝集されていたと知り深い感動を覚えた.

自民党政権時代の政官業癒着という悪の根源は,政権交代により解消される見通しはあるのだろうか?すべての人が沈まぬ太陽を心に持って,糺すべきことは糺して,明るい未来を築きたいものである.
渡辺謙をイメージしながら・・・
★★★★2009-12-16
おもしろかった。さすがに労組が会社と戦うシーンは、なかなか感情移入しにくいが(笑)。昔のJ○Lはそうなんだったのかなーと思ってしまう。それでも会社を辞めない、主人公の強さには、感動さえする。うーん、自分はできないが、すごい。。。