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八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)

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  • メーカー: 新潮社
  • JAN/ISBN: 9784101122144
  • 定価: ¥ 540
  • 売上ランキング: 13154 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

陸軍の無謀な命令に従う男たちの冬山の戦いです。
★★★★★2009-04-18
冬の八甲田は、現代でも通行禁止になるほどの山です。
それでも時折、勝手に上って、遭難する人が出るほどの山です。
この山を冬に超えるようとするのは、「訓練」ではありません。
もはや人間をつかった実験です。
陸軍が課したこれほどの過酷な課題に、男たちが命を賭けて挑みます。
死力を尽くした彼らの行動に涙を流さずにはおれません。

新田次郎氏の筆が冴えます。
名作です。
超迫力の描写
★★★★★2009-03-13
観測史上最悪の寒波の時に三十一聯隊と五聯隊の運命が分かれる。八甲田山の雪中行軍に成功した第三十一聯隊もその道のりは険しくいつ遭難してもおかしくない状態であった。成功と失敗の原因は枚挙に暇がないが、やはり最大の原因は指揮力の差であったろう。第五聯隊の中隊長であった神田大尉は非常に優秀な指揮官であったが、自分が当時では珍しい平民出身の将校であるという負い目と遠慮が200名もの兵隊を失う原因となったことは事実である。しかしこの失敗の教訓が日露戦争では充分発揮されたことは事実であり、結果として日露戦争では日本が勝利を納めることができた。しかし皮肉なことにこの日露戦争の勝利が太平洋戦争では一番の足かせになったことも事実であり、実際に太平洋戦争時には本書に書いてあるような組織の指揮の誤りや戦勝体験による精神論が蔓延ることになった。歴史は繰り返す。失敗は成功の母そして成功の下久しく居る可からず等の諺が凝縮しているのが本書ではないだろうか?
また、新田氏独特の描写がとても迫力があり、実際に私自身が雪山を遭難しているような錯覚に陥りそうになった場面も多くあった。
遭難とは
★★★★★2009-03-12
登山を始めるといつか過酷な冬山に立ちたいものだと憧れる。
が、それがいかに冷静な判断力と体力そして苛烈さを覚悟しなくてはいけないものか、ということを教えてくれる。極限の中におかれたときに、人間に起こるさまざまな狂気や絶望。
徐々に壊れていく将兵たちの姿はまさに地獄絵図である。
「遭難」の言葉のリアルな姿を文章から目の当たりにさせる、傑作であると思う。
研究と訓練なのにこうなっちゃうの?
★★★★★2009-01-02
当初、リスクマネージメント、リーダーシップの参考のために読み始めましたが、
読み終えてみて、勉強にはなる部分もあるが、考察するにはやや不適切と感じた。
やはりこれはフィクションの小説だからである。

著者が伝えたかったことは、死後も継承されるという軍隊の序列や、上長には
間違いを間違いといえない状況が悲劇を生んだということであろう。

一方、軍が世論を気にして対策を講じる姿は、むしろ認識を新たにした。

序章から胸を締め付けるような悲壮感の伝わる文章で読むのが辛いが、
山中での彷徨からは一気に読んでしまったほどの緊迫感があった。
一気に読める冒険もの
★★★★2008-12-29
明治時代に起きた実際の事件を基にしたフィクションです。
一応人物名は変えてありますが、実話も挿入されており、フィクションとノンフィクションの境が曖昧で、ついつい全部実話だと思ってのめりこんでしまいます。
明治時代ということもあり、生存者も少ないことから全貌がわかりにくい事件ですが、作者は登場人物のキャラクターやストーリーを単純化して実にわかりやすい物語に構成しているので、おもしろくて一気に読んでしまいました。
軍隊内にいかにもありそうな、部隊同士のいがみあいや、上下関係が悲劇の原因になったという明解なストーリー構成や、兄弟間で霊的な交流があったり、吹雪の中を笑いながら案内する妖しい女がでてきたりという、幻想譚の挿入もよくできていて、読者の興味を刺激してくれます。

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