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海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

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  • メーカー: 新潮社
  • JAN/ISBN: 9784101181325
  • 定価: ¥ 420
  • 売上ランキング: 20586 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

平然としていた
★★★★★2010-02-20
塩野七生さんの小説を読むのはこれが初めてです。
司馬さんの小説が好きであり、日本の歴史にとても興味を持たせてくれたので。世界の歴史も興味がもちたくこの小説を読みはじめました。
最初の150ページ程読むまでしんどかったです。人間に的を当てて物語が進むのではなく、会話文もほとんどなく、勉強の講義を受けてるような感じで。
しかし!そこを越えたら、凜とした文章が小気味よく、非常に好奇心を掻き立てられました。
ヴェネツィア人が国交断絶されても破門にされても破門にした側の宗派の人々と同船している時にも「平然としていた」など、なんだか可愛らしくまた面白いです。
読み終わる頃には塩野さんの文体も愛おしく、ヴェネツィアにも興味が湧き、物語の展開も気になってしかたなくなりました。
驚くべきヴェネツィア1千年の歴史
★★★★★2009-11-18
4年前にイタリア旅行をした際に水の都と言われたヴェネチアに2泊滞在した。運河も街並みも聖マルコ寺院もすべてが美しく趣きがあり、同じ古都でもローマやフィレンツィアとは異なる魅力溢れる都であった。

ただ、その折に本書を既に読んでおり、現在は観光が唯一の産業であるヴェネツィアが、8世紀以降約1千年に亘って貿易都市国家として地中海を支配していたことを知っていたなら、その旅は更に感慨深いものがあったであろうと思う。この6巻に亘る大作には、ヴェネツィアという人口10万人程度で始まった小さな都市国家が、かくも長き繁栄を続けることができた理由が、実に生き生きと描かれているからだ。

大きな理由の一つは民主主義と君主制の中間のような独自の政治体制を整えて権力の集中を防ぎ、ヴェネツィアという都市国家の繁栄を守るためにそれを維持し続けたところにある。その結果、ビザンチン帝国、ライバルであるジェノヴァ、そしてオスマントルコ帝国といった強国の間で、経済力と情報網と政治力を駆使して生き抜くことができた。

人口が少なく強力な陸軍を有することができないこの国には理想や夢を語る余力はなく、常に現実主義者として合理的な行動を続ける必要があり、時にはイスラム国と妥協も重ねたため、ローマ法王庁や他国からは非難を受けることも度々であった。ただ、その現実的で合理的な行動を取るために折々の貴族達が必死に知恵を絞り、時には命を投げ打つ必要さえあったわけで、決して安易な道のりを選んでいたわけではなかったこともよく理解できた。

現代日本とは規模も時代も異なるため比較の対称にすることは適当ではないかもしれないが、同じ貿易に生きる国としては学ぶことも多々あると感じた。
ヴェネツィアのあけぼのから第四回十字軍まで
★★★★2009-11-13
著者によると、ヴェネツィアは、アンチ・ヒーローの国であり、英雄がきら星のごとく輩出する古代ローマとは全く異なるそうです。
確かに、高校の頃に学習した世界史のヨーロッパ中世史でも、イギリス、フランス、神聖ローマ帝国等については結構教科書に書かれていましたが、イタリアについては、ローマ法王庁とルネッサンスに関わって出てくるぐらいで、ヴェネツィアに至っては、「そのような国があった」という程度でしか触れられておらず、影が薄いことは否めません。
しかし、そのような国が、現実には、周りの強国と互角に渡り合い、1000年間も存続していたというのですから、どのようにして国が興り、発展してきたのか興味がわくというものです。
本書では、ヴェネツィアの誕生から第四回十字軍までが扱われています。ヴェネツィアがローマ帝国の時代に誕生したというのは初耳でしたし、ヴェネツィアがローマ教皇から破門されても平気だったわけが、本書を読んで良く分かりました。
ヴェネツィアのイメージが変わりました
★★★★★2009-11-07
高校の時、世界史を選択していたのですが、その頃に勉強したヴェネツィア商人のイメージと言ったら、正直悪かった。
「自分の利益のために第四次十字軍を誘導して、ビザンチン帝国を滅ぼした」だの、「香辛料貿易を独占し、他の国を締め出していた」だの、「自分たちの利潤のためなら平気で敵であるトルコに寝返った」だの。シェークスピアの「ヴェニスの商人」そのまま、ごうつくばりの集団というか…。

なので、ヴェネツィアという国家にはあまり魅力を感じていなかったのですが、著者の「ローマ人の物語」が面白いので買ってみました。(本当はこちらの方が先行作なのですが)

何というか、読んでいるうちに、すっかりイメージが変わりました!ヴェネツィア人かっこいい。なんてユニークな国家だったんでしょう。イタリア統一して、一都市になってしまったのが惜しいくらいです。(イタリアの方すみません)上記のあのヒドいイメージが、ヴェネツィアの立場からはまったく違って見えてくる。
どんな旅行記や写真集より、ヴェネツィアの魅力満載の本です。

第1巻は、ヴェネツィアのはじまりから問題の第四次十字軍の時代まで。ヴェネツィアの立場から見た地中海の中世をぜひ体験していただきたいです。
内容は良いが、謎の再版・・・
★★★☆☆2009-11-01
この本が出た時には、家族で夢中になって読み漁った。
最近の著者の文章はいささかくどくて読みにくいが
(ローマ人の最後のほうなど)、この本はサラリと
書かれているし、分量も適度で読みやすい。
しかも土地がなく、交易に頼って生きていかざるを
得なかった「共和国」(当時は珍しかった)の盛衰を
ドラマチックに、航海という技術的要素まで盛り込み
ながら巧みに描いた本書は、著者の最高傑作
といえよう。

ただ、ローマ人が終わった段階で、再び文庫本を、
しかもかつては上下巻二冊であったものを細かく
割って再版するのは、金もうけのためとしか思えない。
確かに文庫としてはごつくなるが、二分冊でも十分
読みやすい厚さだった。この点で★★減点。
この厚さでなきゃやだという人でなければ、旧版を
探したほうがよい。