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ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)

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  • メーカー: 新潮社
  • JAN/ISBN: 9784101181677
  • 定価: ¥ 460
  • 売上ランキング: 16290 位
  • ★★★★★

カスタマーレビュー

不人気ティベリウス
★★★★2010-01-18
少なくともローマ人の物語シリーズ『パクス・ロマーナ』に描かれる姿においては、ティベリウスは暴君ネロのような男にはなりそうもなかった。
名門クラウディウス一門に生を受け、教養もあり軍務にも秀でており、少なくともそれなりの統治者にはなれそうであった。
そんな彼がなぜ、塩野氏の意図ではやや反語的な意味での使用なのであるとはいっても「悪名高き皇帝」巻に含まれるのかと思い、
ティべリウスがすさまじい暴君に変貌するのかとおそるおそるページを繰ってみれば、そこには着実に政務をこなす彼の姿があった。
グラディエーターのイベントになぞカネを遣わず、きまじめに帝政ローマを運営していく本巻でのティベリウスは、
皆に好かれる人気者、周囲の人を笑わせる楽しい人、といった感じではなかった。しかしそれはそれで、
市民に媚びず、元老院の追従を退け、システムをきっちりと構築して円滑に真剣に淡々と巨大な国家を運営していく、かっこいい姿だ。
ティベリウスは血筋にも能力にも恵まれていたが、妻が嫌いになったわけでもないのに離婚させられ、
ゲルマニアはそう簡単に攻め終わるものでもないことをアウグストゥスにわかってもらえず、頼みの元老院は力がなく、
自分の地位は結局アウグストゥスとアウグストゥスの子孫の間を埋める「中継ぎ」でしかなく、
アウグストゥスの孫娘に憎悪の念を燃やしまくられ・・・・・・となかなかかわいそうな人でもあった。
暴虐ではなく不人気先行ゆえの「悪名」高き、ティベリウスの姿が語られる地味ながら興味深い巻。
誠心誠意で当り過ぎる。
★★★★2009-04-10
アウグストゥス以降に続く、
二代皇帝、ティベリウス、
三代皇帝、カリグラ、
四代皇帝、クラウディウス、
五代皇帝、ネロ
までの。
歴史家に『悪名高き皇帝』と称された
皇帝たちを描いた巻。
塩野さんはこの歴史家たちの採点に対して、
『ホント?』というスタンスで書き綴っていく。

まずは第一巻目。
二代目皇帝ティベリウス。
紀元14年〜紀元39年までの出来事。

--

塩野さんが描く、
『誠心誠意で当りすぎた』
ティベリウス像が。
個人的にはとても好感が持てる。

『わたし自身は、死すべき運命にある
 人間の一人にすぎない。
 そのわたしが成す仕事もまた、
 人間にできる仕事である。』

と言ってのける皇帝。
死んで後にローマの神となった、
カエサルやアウグストゥスとも
異なる、生真面目さ。

どのような場合でも口調は厳格。
元老院には権威と責務の自覚を求める。
(自立を、責任を全うすることを求める。)

カエサルのようなユーモアも。
アウグストゥスのような偽善も持たず。
ただただ、責任を全うするティベリウス。
反して責任を、義務を果たさない元老院。

--

そんな彼だけど。
ある日。
ローマを離れ。
カプリ島に家出する。

責任を果たさない元老院や。
平穏ではない家庭にいるよりも。
カプリ島に家出して、
そこで政治を執り行おうと。

すごい皇帝だ。
そりゃ反感買うようなーと思ったけど。
でもなんか、この正直さというか
不器用さというか、生真面目さというか。
憎めない。

近くにいて、
一緒に仕事とかすることになったら
超コワいんだろうけれど。
なんか好感が持てる。

はてさて二巻目ではどうなることやら。
せめて晩年くらいは
幸せに暮らしてほしいものだけれど。

なんとなく風向きは怪しい。
悪帝たちの統治
★★★★★2008-12-05
 悪帝、愚帝、暗帝など悪名高き皇帝たちの呼び方は様々ですが、彼らはなぜ後世で「悪」とされたのか。

 初代皇帝アウグストゥスの時代から武人として高い成果を上げていたティベリウス。アルベール・カミュの劇作『カリギュラ』で怪物(ペスト)として表現された若きカリグラ。ローマ建国からの歴史を熟知した歴史家皇帝クラウディウス。そして「反キリスト」にして「国家の敵」と呼ばれ、賢くはあるがナイーブで小心者なネロ。

 前作『パクス・ロマーナ』とあわせて政治の話が多くを占めるため、退屈に思われる方もいるかもしれません。政治・経済は仕組みがわかって、自身に実害がないうちは面白いものだと思うのですが。

 またカリグラやネロなど先入観がある分、古代の人物像を資料と彼らが行った行為などから浮き彫りにしていく塩野女史の叙述を存分に楽しめる巻であると思います。
帝政を確固たるものにした皇帝ティベリウスの章
★★★★★2008-05-17
カエサル、アウグスストゥスの後を引き継いで最高権力者の地位についたティベリウス。彼にはアウグストゥスが打ち建てた事実上の帝政の確固たるシステム化(誰が皇帝になっても運営できる体制づくり)という使命がありました。しかも、神君となったアウグストゥスが成果を明確にしなかったゲルマン侵攻の決着という難題も残ります。
アウグストゥスの血を引く養子ゲルマニクスを担ぐ一派や政治的な能力を失ったレベルの低い元老院。何かと先帝アウグストゥスと比較するローマ市民。こうした難しい環境下でティベリウスはストイックに政治・外交に取り組み、課題を解決していきます。
第2代皇帝として自身に与えられた(アウグストゥスに細かく指示された訳でもないのに)使命を正確に理解して冷徹に仕事を進め、人柄としても面白みに欠けるうえ、人気取りの施策を行わなかったゆえ、市民には不人気だった(死にあたっては「遺体をテベレ河に捨てよ」の声まで出た)ティベリウスを、塩野氏はかなり好意的に描いています。読む側にとっても「帝政とパックスロマーナを確固たるものにした賢帝」というイメージを強く持ち、タイトルとのギャップが印象的です。
そもそもこのタイトル、塩野氏によると反語的なもので、「悪帝と断罪されてきたけどホント?」という意味だそうです。歴史的に評価されていないティベリウスからネロまで4人の皇帝が塩野氏の視点によってどう描かれるのか楽しみです。
帝政の発展
★★★★★2007-08-29
ロードス島へ引っ込んでいたティベリウスが第一人者へ押し上げられ、自らを神格化させることを極度に嫌いながらも、ローマ帝国の礎を築いていく。
表紙の金貨にもあるようにこの時期の通貨の鋳造技術を群を抜いており当時の経済状態の良さが伺える。
ティベリウスに関して私が一番驚くのは、よくもまぁここまで自分の存在を冷静に捉えて言動を起こせるなぁということ。公人とはみなこうあるべきではないのかという模範のような人だ。名門中の名門家系出身ゆえに、元老院の討議責任を放棄して第一人者に任せるという姿勢が許せなかったようだが、理想をみたのはその部分だけのような気がする。
そんな彼も、家庭のコントロールは常に失敗したようで、晩年にはカプリ島へ「家出」してしまうのだから面白い。親族のコントロールが一番難しいということか・・・

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