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ローマ人の物語 34 (34) (新潮文庫 し 12-84)
メーカー: 新潮社
JAN/ISBN: 9784101181844
定価: ¥ 460
売上ランキング: 12815 位
★★★★
☆
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カスタマーレビュー
キリスト教が徐々に勢力を広げつつある背景が面白い
★★★★★
2009-04-14
相変わらずコロコロと皇帝が変わり謀殺されを繰り返し徐々に帝国の体力が無くなっていく。
その過程では素晴らしい才覚のある皇帝も何人か出てくるのだが、全盛期にはありえないような相手に次々とあやめられてしまう。
そんな社会不安を背景に、ローマ社会に適応しつつも一神教として徐々にキリスト教が幅を効かせ始める背景が詳細に描かれていて面白い。
現代まで脈々と続くキリストの総本山ローマは3世紀に皇帝アウレリアヌスによって「キリスト教の中の最上位」に位置することを決定されているというのを初めて知った。
当時はキリスト教徒でもなんでもな異教徒の皇帝によって今のバチカンが成り立っているかと思うと歴史というのは本当に面白いとおもわざるをえない。
キリスト教が広まった理由についての考察
★★★★
☆
2008-10-01
今年に刊行された文庫版の「ローマ人の物語」はこれで最後です。
この巻では、3世紀の軍人皇帝が次々とたっては、身内や部下に殺されていく時代が描かれていました。共和制になって依頼ずっとローマをひっぱってくる人材を輩出し続けて来た元老院が実験を失い、軍人とくに騎兵の隊長が皇帝になるよようになってからは(というよりはそうするしかなくなるくらいパックス・ロマーナが崩れていって)、ローマ帝国内は常に不穏で落ち着きがなく人々の幸せも相対的に低くなっていきます。
この巻で興味深かったのは、そうしたローマ帝国内で数百年かけてキリスト教が勢力を拡大していった過程についての考察です。ユダヤ教から分派したキリスト教がどのようにして公認宗教として認められて行くのか、その背後にあったものはなんだったのか。これが面白かったです。塩野さんは、キリスト教が特にすぐれていたわけではなく、ローマの没落がキリスト教に人を傾かせていったのだという主張は頷ける部分が多くありました。
曰く、ローマ市民というものに誰でもなれるようなったことで帰属感をもてるコミュニティに人々が流れた。昔は行き届いていた福祉が滞りがちになり、病人や子供でも寡婦でも助け合いで暮らして行けるキリスト教コミュニティに流れた。世相が厳しくなってきて、確かなもの、あいまいな多神教ではなく絶対の力を説くキリスト教に人が流れた。同様に、現世主義だったローマなのに現世が幸せでない人が多くなり、死後の幸福を説くキリスト教に人が流れた。などなど。
またキリスト教のほうでも、ユダヤ教の偶像崇拝禁止から舵をとり、キリストの画像などを認めるようになった事、ユダヤ教と違って軍人や高官になることを認めるなどで、ユダヤ教と違ってローマ人がじわじわと入り込みやい状況にしていたことなどが挙げられていましたが、おおもとのところでは国がゆるやかに崩れていって、国土の防衛もインフラの整備も手に余るようになり、為政者が数年ごとにいれかわり、食料の配給にも問題があるようになり、人々が力強い言葉を発し他と一線を画する強い主張をする一方で互助会的なコミュニティで共同体としてうまくやっていたキリスト教に流れて行ったという事で、そのあたりで積年の疑問が氷解しました。
「ローマ人の物語」
かつてのような英雄や優れた指導者(まれに暗君・暴君もいましたが)の時代は終わりを告げ、部下や軍人同士のいざこざで首がすげかえられる時代になってきて、国家としての魅力はなくなってきましたが、人間の物語として読むとまだまだ面白いし、知的好奇心が満たされる本です。
新しい時代へGO!
★★★★★
2008-09-10
文庫本化された後も、作者塩野七生は一冊ずつ、表紙になった「皇帝コイン」の解説を丁寧に書いていてくれるので、嬉しい限りである。
本書はこのシリーズの中でも終末期に入ったローマ帝国の、極めてユニークな記述内容の巻となっている。著者塩野七生の薀蓄溢れる意見部分とか、キリスト教に対する先学に加えての自分の考えの吐露とか、作者の考え方が大いに反映されている部分が多い。
本シリーズが、日本の多数の読者に読まれ、人気があり、経営者等々のリーダーにも多くの愛読者がいるのは、古代ローマ帝国の各皇帝の言動ないしは行動等に今日でも見るべきところがあり、日常の意思決定等々にも生かすことができるケースがあると考えるからである。
そういう意見もあるらしい。
塩野はこんなことを言っている。
「人間世界では、なぜか、権威失墜の後に訪れるのは、残された者同士の団結ではなく、分裂である場合が圧倒的に多い。」
嘗てのチトー亡き後の、ユーゴスラビアの分裂国家群の内紛然り。
また、
「同性として毎度のことながら残念に思うのだが、女とは権力を手中にするやいなや、超えてはならない一線を越えてしまうのである。しかもそれを、相手の苦境につけこむやり方で行う。」と。
然り。見に覚えのある女性も多々あるのでは・・・・・。
本書の最後にまるまる1章をさいて書かれた「ローマ帝国とキリスト教」は圧巻である。この章はキリスト教に対する塩野の総括であり、この宗教に対する彼女の明確な意思表明といっていい。
そして、作者も含め、我々のようなキリスト教信者でない読者にとっては最高の、且つお手軽な「古代キリスト教入門」となっている。
痛くて痛くて痛そうな「割礼」もきちんと書いていてくれているのは興味深い。
それにしても、塩野がキリストのいわゆる「奇跡」なるものには全く信じていない、という件の部分には、何故か安心したりしてほっとするのだ。
逆に、だから「彼女の文章は信用できる、読者を納得させる」といえるのかもしれない。
また、文庫本につきものの第三者による「解説」が本文庫シリーズには一切ないのがいい。
塩野自身、この一連の著作に自信があり、他者の解説を望まない、他人に批判されたくないという心境なのだらう。
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