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そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)

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  • メーカー: 新潮社
  • JAN/ISBN: 9784101300511
  • 定価: ¥ 500
  • 売上ランキング: 7979 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

被害者の声は聞こえない。
★★★★2010-02-14
加害者を守ろうとする者がいる。
「加害者に非はない」という信念を持っているのなら、
何も言うことはない。
しかし、自らの評判を上げるためだけに行っているのなら、
もう人間をやめた方がいい。

被害者の声はいつもかき消される。
それでも声を出していくしかない。
小さな影響力しか持ちえていなくとも、
声を出さなければ消え去っていくだけだから。
司法に乗らずに病院に隔離されることの意味は?
★★★★2009-12-21
刑法39条の問題点を突いている。それよりも,日本の刑法が明治からほとんど変わっていないことを嘆いている。

著者の家族歴からみると,両側面(加害者になりうるかもしれないこと,被害者であったこと)から当事者として考察できる環境にあり,だからこそ真剣に取り組める課題であったのだと納得。

精神疾患を持っている患者が,犯罪率が高いか低いかというのはこれからも議論される事柄だと思うが,疾患を持っているからといって裁判を受ける権利を奪われるのはいかがかという問いがなされている。また,被害者感情をまったく無視できる「不起訴」という扱いについても,犯罪(罪に問われないためこの言葉を使っていいかという疑問はあるが)をなかったこと,被害者は勝手に死んだのだということにされてしまう現状を嘆く。

医療観察法が施行され,今後見直す必要があるこの法律でさえ,現状には不十分と考える。本当の意味での司法に乗らずに病院に隔離されることの意味は?と悩んでしまう一冊。
一番怖いのは
★★★★2009-11-28
一番怖いのは、刑法39条により無実となった殺人者が
電車で私のとなりに座っているかもしれないということではなく、
精神障害者の犯罪をマスコミが報道しないことにある。

他の方のレビューにあるように、著者はやや感情的になりすぎである。
自分の身内に精神障害者がおり、殺人事件の被害者であるということがそうさせているのだろうが、
それが免罪符とはならない。
もう少し、落ち着いて事実を淡々と書いて積み上げていくほうがより説得力を持つものになったと思う。

ところで、私自身は、パニック障害をわずらい、もう15年である。
パニック発作時に起こした犯罪は、心神耗弱に当たるのか、気になって仕方がなかった。
というのも、私の場合、乗り物に乗っているときに発作に襲われることが多い。
「自分ではどうしようもできない」状況のときに多い。
例えば、高速道路での渋滞時や飛行機に乗っているときなどである。
こういうとき、「飛行機から降りなければ、死んでしまう」という気持ちになり、
降りたくて降りたくて仕方がない、
降りるためにはなんでもするという気になる。
私の15年に及ぶパニック障害歴の中で、
発作時に人を傷つけるような
たとえば飛行機に乗っているときに
ハイジャックしてでも、降りたいとまではならない。
矛先は自分に向かうばかりであるが、
これがいつ、ハイジャックしてでも降りなければという気になり
刃傷沙汰を起こしたとしても不思議ではない。
それに、渋滞時の発作でひどいときには、車をぶつけても前に行きたいと思うことは、正直言ってある。
一番怖いのは、自分が刑法39条のお世話になるかもしれないということである。

今、マスコミはパニック障害に好意的である。
カミングアウトしている有名人も多い。
ただ、パニック障害者が発作時に大量殺人を起こした場合に、どうなるだろう。
ひょっとして、マスコミが報じないだけで、
もう怒っているやも知れぬ。
なんとも怖い話である。
法律家らしい揚げ足取りな文章の羅列。
★★☆☆☆2009-05-20
10年の月日を取材に費やしたということは評価に値する。
しかしその月日が水の泡になってしまうような、批判と議論のすり替えの嵐。
主張をする際には必ず逆説というものが必要となる。
しかし著者は39条に対してNOの一点張りで、その理由について「NOと考える読者」「YESと考える読者」双方が納得出来る理論を展開出来ていない。
ただ被告人を無罪と処した事実に関わった人間の言葉の端々を取り上げ、なるほど法律家らしいとも言うべき揚げ足取りを行っているだけである。
39条、心神喪失者等医療観察法のメリットデメリットがどこにあるのか、それをどう改善していくべきなのか、氏の理論からは全く見えてこない。
触法障害者=無罪=死ぬまで監禁すべきという昨今見られる短絡的な理論に加担しているだけである。
このイコールの間に何があるのか、そこまで触れた深い考察を期待していたが。。。
一読必須。
★★★★2008-11-28
刑法39条の不条理については各レビュアーが述べられている通り。本書によりその法解釈・裁判・報道の実態が見事に描き出されている。それだけで一読の価値は有る。

読者は本書をベースに自分なり論点へ思索を広げていくことができるだろう。例えば、

・なぜ日本のマスメディアはこれほどにも犯罪報道を重視するのか。海外のいわゆる一流紙では一面トップに犯罪報道がくることは稀だ。政治・経済・外交こそが主要な論点となる。国内メディアにおける社会部の強力なポジショニング、警察とマスコミの緊密な関係などが本書の犯罪報道を通して浮かび上がる。

・裁判員制度が刑法39条に与える影響。一般人が判決を下すことにより、今までと同様の「無罪」量産が行われるとは思いがたい。最終的に評決は多数決。おそらくは、法社会学における極めて興味深い事例(法の社会からの拒絶)になるのではないだろうか。

ガッキーは最近ハウ・ツー本の大量生産者になりつつあるのが残念ではある。