ティファニーで朝食を (新潮文庫)

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  • メーカー: 新潮社
  • JAN/ISBN: 9784102095089
  • 定価: ¥ 580
  • 売上ランキング: 2995 位
  • ★★★★

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カスタマーレビュー

原文を読むと翻訳のすばらしさが、よりわかりますよ
★★★★★2009-06-12
 映画で有名です。村上さんも「映画は映画としておもしろかった…だから映画と比較してとやかく言うのはもうやめよう」と書いているので、そのあたりはノーコメントです。

村上訳はカポーティの雰囲気をうまくだしてすばらしいです。原文に忠実な訳で、作者へのレスペクトを感じます。

例として、一文を原文と村上訳であげてみます。

I went out into the hall and leaned over the banister, just enough to see without being seen.
僕は廊下に出て、手すりから身を乗り出すようにして下をのぞいた。こちらの姿は見えないようにして。

She was still on the stairs, now she reached the landing, and the ragbag colors of her boy's hair, tawny streaks, strands of albino-blond and yellow, caught the hall light.
彼女は階段を上って、踊り場に近づいているところだった。男の子のような髪には様々な色が混じり合っていた。黄褐色の筋があり、白子のようなブロンドと黄色の混じった房があり、それらが廊下の明かりを受けて光っていた。

It was a warm evening, nearly summer, and she wore a slim cool black dress, black sandals, a pearl choker.
ほとんど夏のような暖かな夜で、彼女はほっそりとしたクールな黒いドレスに、黒いサンダルをはき、真珠の小さなネックレスをつけていた。

For all her chic thinness, she had an almost breakfast-cereal air of health, a soap and lemon cleanness, a rough pink darkening in the cheeks.
その身体はいかにも上品に細かったものの、彼女には朝食用のシリアルを思わせるような健康な雰囲気があり、石鹸やレモンの清潔さがあった。両方の頬には飾り気のないピンクの色が濃く差していた。

Her mouth was large, her nose upturned.
口は大きく、鼻は上を向いていた。

A pair of dark glasses blotted out her eyes.
両目はサングラスで隠されて見えない。

It was a face beyond childhood, yet this side of belonging to a woman.
子供時代は過ぎていたが、まだ女にはなりきっていない顔だ。

I thought her anywhere between sixteen and thirty; as it turned out, she was shy two months of her nineteenth birthday).
十六歳から三十歳のどの年齢と言われても不思議ではない。後日わかったことだが、彼女はあと二ヵ月で十九歳の誕生日を迎えるところだった。


あと、あまり関係ないですけど、新潮文庫は栞があっていいですね。今はコストカットでハードカバーでも栞がない本がありますから。
なんと村上春樹の翻訳の「ティファニーで朝食を」 素晴らしい!!
★★★★★2009-02-11
可愛いオンナとはどんなオンナを言うのだろうか、と少し考えてみたくなる。

 トルーマンカポーティの名作「ティファニーで朝食を」が、なんと村上春樹の翻訳で文庫化されているではないか。さっそくむさぼり読んだのだ。

実にみずみずしいキャラクターゆえに、憎めないのが主人公のホリー・ゴライトリーである。社交界のモテ男たちも、どこかで彼女のような奔放で気ままな、しかし、正直な生き方に憧れているのだ。

 でも、その無軌道に見える性格も、さんざんな目に遭ってきた彼女なりの哲学があるかのようなのだ。

 「退屈な結論だけど、要するに『あなたが善きことをしているときにだけ、あなたに善きことが起こる』ってことなのよ。いや、善きことっていうよりも正直なことっていうべきかな。」

 翻訳者である村上春樹の解説がとてもこの本を読み砕く上で参考になった。なにせ1958年に出版されたわけだから、そのあたりの時代背景も知っておくと雰囲気に浸れる氣がしたよ。村上春樹も、この小説を高校時代に英語で読んでいて、作家をほのかに志望していた心がとてもじゃないがふくらむことが出来なかったようだ。そして、彼は小説を書くためにそれから10年近くの歳月を要したという、それほど「完璧な小説」なんだそうだ。

 ただ、カポーティは、この小説が映画化されたときに、(ストーリーが違っているとはいえ)主人公の起用にオードリーヘップバーンが選ばれたのには、相当な不満だったようだ。彼が描きたかったホリー・ゴライトリーではない。もっと奔放な型破りであり、野生的な明るささえ持ち合わせたのが本来の主人公の設定であるようだ。

 だから、翻訳者の村上春樹もこの本のカバーには、映画のシーンを使ってもらいたくなかったと告白している。そうか、そうか。解説を最初に読んでおいてよかった。
 本書に入る前に、ヘップバーンを頭の中から「排除して」読み進めねばならぬのだ。

 慣れ親しんだ世界は楽で心地よいかも知れぬが、それではダメなんだな。

 「私は何にでも慣れたりしない。そんなのって、死んだも同然じゃない。」 〜ホリー・ゴライトリー〜 

 村上春樹は、ぜひともこの名作をリメイクして、この古典に忠実に沿ったストーリーで映画化をしてくれないだろうかと熱望していた。しかし、問題がひとつ。
 主人公にピッタリの女優が思い浮かばないのだそうだぞ。よほどヘップバーンを払拭してほしいのだろう。(あれは、あれで別物として良しとするみたいだけど)

ホリー・ゴライトリーの魅力
★★★★2009-01-20
ファッション紙で憧れて、やってきたニューヨークでモデル崩れ。
毎晩、海軍兵士やらと宴を催し、
ブラジル外交官に恋して、海外へ。
20歳で華やかな都会に出た女の子がやりそうな、平凡なこと満載である。

にも拘らず、主人公「僕」と同様、ホリー・ゴライトリーから目が離せないのです!!
気にかけずにはいられない、思春期の女の子にしか持てない、危うくも瑞々しい魅力。
それが、溢れんばかりに描かれていて、もうこれは、カポーティの文章力とそれを生き生きと訳してくれた村上春樹氏の力なんだろうなぁと思います。

結局、過去は美しいという懐古的な作品なのですが、センチメンタリズムで甘甘になっていないところが、名作たる所以だと感じました。
泰葉のような主人公をどこまで好きになれますか?
★★☆☆☆2009-01-10
映画版の「ティファニーで朝食を」がオードリー・ヘップバーンなしでは愛されないように、カポーティの「ティファニーで朝食」は、奔放でエキセントリックな主人公ホリー・ゴライトリーを読者がどこまで愛せるかにかかっているような気がする。

「いま、会いにゆきます」や「世界の中心で、愛を叫ぶ」などの日本のヒット小説を考えると日本の読者が、この自己中心的で、気まぐれで、孤独なホリー・ゴライトリーを好きになれるとは思えない。小説を読んでいると、何故か次第に、美麗なオードリーの顔が「金髪豚野郎!」と叫ぶ泰葉の顔に入れ替わっていくから不思議だ。

村上春樹の翻訳本は、全て読むことにしているが、旧翻訳が50年のときを経過して金属疲労してきているから再翻訳したとのことだろうが、依然として翻訳文が固すぎるのではないか?ホリーがブラジルの婚約者にふられ、「ずぶずぶのネズミ野郎」と叫ぶが、ずぶずぶのネズミ野郎とはどういう奴のことなのか?泰葉の「金髪豚野郎」の方が、すんなりと、胸に響くものがある。

きっと、アメリカ人は、ホリーのような女性が好きなんだろうな?日本人だったら、ホリーが16歳位なら、もう少し違った視点で読めるかも。そしたら、学園ドラマだよな…。
ティファニーより、一緒に収録されてる短編がいい
★★★★2008-12-10
「カポーティ」「ティファニーで朝食を」「村上春樹訳」の文庫とあれば買うしかないと思ってさっそく読んだ。表題作「ティファニー・・・」はニューヨークのセレブ生活、作家志望の繊細な青年と奔放な女性の友人以上恋人未満の関係を、おしゃれで軽快な文体で描いている。ただ、これが世紀を超えて愛される名作だとはあまり思えなかった。それよりも一緒に収録されている「ダイヤモンドのギター」と「クリスマスの思い出」という30ページ足らずの短編の方が、そのせつなさとなつかしさで胸がきゅっとなり、小説世界に吸い込まれるような魅力があるように思えた。

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