なぜ君は絶望と闘えたのか

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  • メーカー: 新潮社
  • JAN/ISBN: 9784104605026
  • 定価: ¥ 1,365
  • 売上ランキング: 2904 位
  • ★★★★

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カスタマーレビュー

死刑の持つ意味を考えさせられる
★★★★2009-06-24
大変読み応えのある内容でした。

死刑を宣告された時、犯罪者は本当の意味で、苦しみながら死んでいった被害者の気持ちに、近づけるのかもしれない。自分は死ぬかもしれない、殺されるかもしれない、そう感じた被害者の気持ちである。

死刑を宣告されることで、本当の反省や後悔が加害者の中で芽生え、死の恐怖を味わった被害者のことを真摯に考えることができるようになるのだ。


人は死を意識しないと、死と非常に近い距離で向き合わないと、本心に立ち返れないのだ。

そしてそれができた時、真の悔い改めが生じる・・・

死刑判決は、犯罪者を人の心を持つ一人の人に立ち返らせ、人間が本来持っている命の尊さや大切さをもう一度感じる、全うな人間にするのである。

刑が処された時に、人は許されるのではない。
真の悔い改めが生じた時、すでに許されているのである。

死刑判決を受けた者が、頑なで無情な犯罪者としてではなく、死と向き合った者だけが持てる、命の尊さを真に理解した、愛情豊かな一人の人として死んでいくようにさせること、それが死刑の持つ本当の意味ではないだろうか・・・

これが私なりのこの本を読んでの考えです。


ラスト30ページ
★★★★★2009-05-30
全体的な感想は他の方のレビューと概ね同じなので、ちょっと違う観点から。


第15章『弁護団の致命的なミス』〜最終章までのラスト約30ページは、予想を大きく超えるものだった。

裁判所が今度こそ死刑を選択したのは、国民・遺族感情の反映でもなければ、それまでの無期懲役は軽すぎたと方向転換したわけでもない。一審二審で認めていた被告人の更正の可能性を認めず、反省謝罪も表面的だと断定した根拠はどこにあったのか?

死刑の判決理由の抜粋が本書には収められているが、その根拠や筋道は<裁判官の主観>では?という疑問を挟む余地もない非常に明解なもので、その冷徹さに感銘を受けた。


【そういうのって理屈じゃない】という表現がまかり通るこの国において、理路整然としたロジックで訴え続けた本村氏はそれだけで尊敬に値すると思うが、それが仕事であるとはいえ、裁判所のメンツも保ちながら国民も納得できる判決理由を組み立てた裁判官の努力は、司法の存在意義や国民の希望に応えるものであり、わたしはそれも、本村氏の努力や功績と合わせて、記憶しておきたいと思う。
感情的には理解できるが理性的には共感できない
★★☆☆☆2009-05-24
正直に言うと、著者や本村さんの考え方やもののとらえ方には共感できない部分が多かった。

例えば「裁判官は被害者や遺族の味方で、被害者や遺族になりかわって犯人を断罪してくれる存在だと思っていた」と不満に思うところ。もちろん裁判官は被害者側の味方ではないし、むしろそうであってはならないはずだ。
あるいはまた、極刑を求めて「少年が将来更生するんではないかというのは可能性であって逆にまた人を殺す可能性もある」「社会復帰してまた犯罪を犯したら、裁判官や弁護人は責任を取れるのか」との主張。犯罪を裁くときには「推定無罪」の原則があるが、これは将来の犯罪に対しても推定有罪という主張であり、よくよく考えてみれば恐ろしい主張だ。

この事件ではテレビで橋下徹弁護士(現大阪府知事)が、加害者側の弁護士に対する懲戒請求を呼びかける発言をして、実際に多くの人が、それが正義のつもりで、弁護活動に対する威圧的、暴力的な抗議行動を取ったという出来事もあった。このように一方的で強大なうねりのようになった大衆の声に押されるようにして出された死刑判決が、公正で妥当なものだったのか強い疑問が残る。

被害者側が犯人を憎み許せないと思う感情は理解できる。しかし第三者までもがみな一方的な視点しか持てなくなったり、社会全体として人を許すことができない社会になってしまうのは怖いことだと思う。

本書の最後は次のような言葉でまとめられている。「この世の中から死刑がなくなったら、どのくらい怖いか分かりません。社会にとって死刑はどうしても必要なんです」「死刑があるからこそ、加害者は罪と向き合うことができる」しかし、世界の多くの国ではすでに死刑制度は廃止されている。それらの国は怖い社会になったのだろうか?人は罪と向き合うことができなくなったのだろうか?冒頭から感じ続けた一方的な見方に対する違和感は最後でますます強くなった。
やたら絶賛されているから読んでみましたが
★★☆☆☆2009-05-19
すごく読みにくい本でした。

内容以前に本に載せる文章を考えるときはもう少し気を静めるべきでしょう。
著者が息を巻きながら文を構成しているのが見て取れるような書き回しが多すぎます。
ルポタージュとしても微妙、星二つ。
冷静な行動が(を)もたらした物
★★★★★2009-05-10
先日死刑判決が確定した、光市母子殺人事件
 事件(裁判)の報道において印象深い物の一つ
 ・裁判所(法廷)に被害者の遺影を抱えて歩いて入っていくスーツ姿の男性の姿を覚えている方も多いであろう
 この男性こそ、被害者の夫であり、父である遺族本村洋氏である。
 ある日仕事を終え、妻子の待つ自宅に貴宅すると、暖かいはずの空間が冷たい異空間に・そこで彼が見たのは妻の変わり果てた姿であった。
 その時、苦痛の中で事切れたであろう妻の遺体を抱きしめられなかった事を悔い、自分を冷たい男と言う。
 犯人が未成年であるとの事から当初死刑判決が回避された事と共に、遺影を持ち込む事自体許されていなかった。
 「(殺された本人である)妻と娘が裁判に立ち会って何が悪い」
 と裁判所自体にも疑問を感じる本村氏。
 民主主義国家において法律に従うのは当然だがあまりにも被害者を顧みない間違った法律は変えていくべきだ・と彼の闘争が始まった。
 「・・・君への死刑が執行されるのなら、結局事件で三人の尊い命が失われる事になる。それからの私は君を含め三人の十字架を背負って生きていくのである。・・・・・」

 本高裁審理において言葉をひるがえし、命乞いのために被害者をおとしめる事もいとわなかった被告。
 これに対し、本村氏は夫・父として二人を守れなかったことを十字架と言い、あまつさえ被告の死おも自身の十字架と言う  
 被告には本村さんのこの言葉が理解出来るのだろうか?

 どんな「人権派」と標榜する弁護士や市民団体よりも、遥かに説得力が有り・本村さんの方が「人権」というものを本当に理解されている事が感じられる様に思ったのは感情的にすぎるのだろうか。
 本。判決に至った事は、彼の冷静な言動も一助であったろう事に改めて敬服し死刑判決が確定するまでの彼の姿を追った本書を、出来るだけ多くの人に本書を読んで欲しいと思います。

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