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春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

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  • メーカー: 早川書房
  • JAN/ISBN: 9784151300813
  • 定価: ¥ 714
  • 売上ランキング: 40938 位
  • ★★★★★

カスタマーレビュー

捉え方はいろいろ
★★★★★2010-03-06
僕はこの物語を読むのにすごく時間がかかった。
出てくる登場人物が繊細に描写されているからそれぞれの気持ちが理解できて逆に苦しいということもあるし、主人公ジョーンの言動一つ一つに「こいつはなんて利己的な考え方をするやつなんだ」という嫌悪感が生まれたからだ。

また僕はこの本を読んだ後、ジョーンの夫であるロドニーに対する同情心が最も強く残った。自分の置かれている状況が望んでいるものではないと気付きながらも『優しさ』という仮面を捨てきれず、しがらみから脱することの出来ないもどかしさ(本人はそれを認めようとはしていないが)に少なからず共感する部分があったからだ。

しかし、終りにある解説で栗本薫はロドニーを「いやなやつ」という捉え方をしている。この事からもわかるようにこの本を読み終わった後に残る感情は人によって様々だろう。もしかしたら何も感じない人もいるのかもしれない。

この本は読んだ後に他人と感じたことを共有したくなる本だと思う。
僕はロドニーみたいな人生を過ごしたくはない。
アガサクリスティのアガサクリスティによるアガサクリスティの本
★★★★★2010-01-27
主人公は、アガサクリスティその人のようだ。
イギリスの女性で、表向きには個人的なことを話さない。
ある理想的な幸せは、危険が少ない、確実な生き方。
夫や子供は、こうあるべきという建前で生きている。

きっと、主人公は、ある年代までのアガサクリスティそのものなのだろう。
ただし、アガサクリスティは、主人公のような生き方はしなかった。

外国旅行で、ひとりぼっちになり、自分の生き方に疑問を持ったというのは同じかもしれない。
家に帰ったら、夫に謝ろうとしていた主人公。

しかし、本書を読み進むうちに、最後にイギリスに帰ったら、きっと主人公は、また元に戻るだろうという予感がしていた。

アガサクリスティは、脱皮したが、主人公は脱皮しなかった。
主人公は、自分の家に戻ったら、また、元の誤らない妻に戻ってしまった。

アガサクリスティと主人公では結末が違う。
それが、アガサクリスティの言いたかったことなのではないだろうか。

アガサクリスティの本で、はじめて、文学と言える作品に出会ったと思った。
この作品だけは、本当の意味でのお文学だと思った。

ps.
本文を読み終えて、栗本薫の解説を読んで、また驚いた。
栗本薫も、アガサクリスティに同感するところがあったらしい。

栗本薫の本の本文はほとんど読んだことがないが、栗本薫の本の、著者のあとがきはかなり読んで、あとがきのファンになっている。

こんなに分かりやすい文章を書く人をほかに知らない。
アガサクリスティもきっとそんな分かりやすい人なのかもしれないと思った。

イギリスと日本の文学者の間に、極東と極西の島国に、さんぜんと輝く文学者の姿。
解説を読み終え、ひさびさに読んでよかった本に出合えた気がしました。

誰がなんといっても、アガサクリスティのBest1です。

足止めされる恐怖
★★★★★2009-12-16
たとえ些末事でも忙しなくうちこんでいられる時にはけっして気づかないもの。だが本書のヒロインのように急なトラブルのために文明の利便さ
とかけ離れた沙漠の真ん中にとりのこされれば否が応でも自分の現状に疑問符が浮かぶのではないだろうか?
ただ事実として、本書を読んだ感想に恐いや哀しいなどのセリフが上がるが、本当にそうか?そう思っていいのか?結局の所、これは単なる事実
だよな。あまりに平凡で非個性な事実。
ただ、その事実にぶち当たっときに人がとる行動は良くも悪くも三種類しかなく、嘯いて認めないか、ただなるようにしかならんと開き直るか、
認めたうえで事実を紛れもない真実に変えようとするか...だ。。
この一冊の教訓が最後の項目にあるのは明らかで、《変える》ではなく《変えよう》とするかだよな。それは《認める》じゃなく《認めよう》
と努力できるかにかかってる。ひどくとりとめないが、それだけ訴えかける内容が抽象的だ。単純だからこそ抽象的。


個人的な解釈ですが、フレキシブルすぎて主体性がないようにみられる人は共有できる価値があって没頭できるのではと。そんな方にお奨め。
足下にぽっかりと空く穴
★★★★★2009-08-24
それ程多くアガサ・クリスティを読んでいる訳ではないが、それでも、この話は彼女の著作の中では最も恐ろしい話ではないかと思う。
血は流れない。猟奇的ではない。
けれど、即物的な痛みよりも、もっと恐ろしい痛みがこの中には描かれている。
タイトルは美しいながらも、とても悲しく恐ろしい物語だ。
考えることがお好きな方へ
★★★★2009-07-28
タイトル「春にして君を離れ」に惹かれ、
いくつかのレビューを参考に開いた本。
まぁ、ムズカシイネ。
読む人によって、読むときによって
いろいろと考えるだろうなぁ、って感想。
あっちへヨロ、こっちへヨロヨロ。
倒れそうで、倒れなくて。
座り込んでも、起き上がり。
また歩き出す。
何か酔っ払いのようですが、一瞬一瞬は正気で。
そんな私でも面白く読めました。

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