予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

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  • メーカー: 早川書房
  • JAN/ISBN: 9784152089793
  • 定価: ¥ 1,890
  • 売上ランキング: 835 位
  • ★★★★

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カスタマーレビュー

あの時はそれが最高の考えだと思ったの!
★★★★★2009-06-15
 伝統的な経済学は、人間に十分な情報を与えれば経済合理性に基づいた正しい判断を下す、と言う前提に基づいて議論を展開する。しかし、人間はどんな状況でも正しく合理的な判断を下せるわけではない、ということを主張するのが行動経済学だ。
 本書では、"無料"商品を目の前にした場合の判断の誤りや、性的興奮時の衝動、ビジネスとはあまり関係ない飲み会の費用を経費としてごまかす心理など、章ごとに身近な題材を取り上げ、実験により検証し、分かりやすく解説している。文体も読みやすいので、苦心なく読めると思う。

 本当に身近な題材なので、おそらく読者自身も経験したことがあるであろう不合理な判断を思い起こすことになるだろう。(ボク自身もそうだった!)
 冷静に考えることができれば絶対にしない判断なのに、何故かその状況に置かれると必ず間違ってしまう。そもそも人間はそういう風に出来ているという事を自覚することで、誤りを回避するための一助になると思う。
誰でも知っていることを大げさにいう真理
★★☆☆☆2009-05-13
幾つかの実験は示唆に富む。
が、くだらないものも数多い。

少し例をあげよう。

「性的興奮の影響」。
性的興奮状態にある人は、理性的でないし、不道徳で大胆な行動を取りがちであることが確認できた、という。
だが、そんなことは中学生でも知っている。わざわざ本で発表するほどの事実ではない。

次に「ゼロコストのコスト」。
簡単にいうと、次のような実験である。
往来の多い場所で高いチョコを大幅に値下げし、安いチョコを少しだけ値下げして売る。
約7割が値下げ幅の大きい高いチョコを買い、3割が安いチョコを買った。
そこで、次の実験では高いチョコをさらに値下げし、安いチョコは無料にした。
すると、比率が逆転した。
この事実で、高いチョコのほうが定価ベースでは値下げ金額が大きいのに、人間の行動はやはり合理的でない、と結論づけている。

だが、この論理展開には重要な視点が欠けている。
少し考えれば分かる。
同じ購買層の選択行動が逆転したのではない。
最初の実験の参加者は、金を払ってもチョコを買う積極的な人達だ。
しかし、背後には、
「どちらのチョコも選択しない。(今現在、金を出してまで食べたいと思わない))」
と素通りした購買に消極的な人達が多数いたはずだ。
この人達は、無料になったことで
「金を出してまで食べようとは思わないが、タダなら手にとろう」ぐらいのことはする。
極めて合理的な結果だ。
無料にしたことで購買には消極的だったグループが刺激され、購買層が変化したのだ。
だが、この実験では、このファクターが完全に無視されている。
筆者が主張するように個人の選択の変化もあるかも知れないが、その影響はずっと小さいだろう。

筆者は気づかないようだが、こんなことは、どの企業でも知っている。
だから、無料入会キャンペーンなどで、潜在客の掘り起こしをはかっているのだ。

日常的実感と実験精神
★★★★★2009-05-07
今取り組んでいる研究テーマにあいた鍵穴のいくつかに形が似たヒントが複数散りばめられていました。お買い得の一冊になりました。それぞれの読者が、それぞれのテーマに当てはめて何かしら気付きを得られる可能性を感じました。
筆者自身が行った大学キャンパスでの実験の数々が強い説得力を持っているのでしょう。類書に比べてひとつひとつの話題の切れ味が違い刺激的になっています。
「経済学における常識」と「現実」の乖離の指摘は痛快ですが、ふと考えて見ると、その「現実」は私たちの日常的実感とかけはなれたものではありません。「経済学では人は合理的に行動するもの」という仮定が、現実の近似としては粗すぎることの裏返しをしているだけだという見方も可能でしょうか。まず多くの方が自分自身の行動が合理的でないことを知っています。
力学で実際には空間的な大きさを持った物体を「質点」として近似するときには、その近似の限界を十分に意識しているように思いますが、経済学の世界でこのような試みが関心を呼ぶということは、最初の近似に対する態度に差があるということかもしれません。ただ、繰り返し教育されるうちにその差に気付かないように毒されてしまうのでしょう。
行動経済学の好入門書
★★★★2009-05-05
この本で取り上げている「行動経済学」は最近一番気になっている分野。「いつも最適な選択をする合理的人間」を前提にした今までの経済学と比較して、

「論理的ではなく、しばしば非論理的な判断をする人間」

を前提にしたこの行動経済学。

特に判断基準がなかったり、頭が足りなかったりしてランダムに間違えるのではなく、

「あるケースではいつも間違える」

あたりに焦点を当てている。

・なぜ人々は「無料」に強く惹かれるのか
・なぜ松竹梅の選択肢があると人々は「竹」を選ぶのか

などなど、人がどんな時に「バイアスのかかった判断」をするかを、キャンパスや街のレストランで社会実験を繰り返して実証している。学術本の体裁ではあるものの、個々のバイアスのかかり方についてわかりやすく説明していて、ビジネスのヒントとしても十分使える。
心理実験
★★★★2009-04-12
 行動経済学と銘打たれた本を初めて読んだが、要は心理学の中の損得に関する行動の事例なんですね。バブル期にイタリアのブランドスーツを、「へー、こんなペラペラのスーツが50万円!…じゃ下さい」という人がいたり、奇抜な内装に変更したマンションが改装前の倍の賃貸料で95%の入居率に上昇したりと、「非合理的なモノが売れる」ケースは耳にしたことがあった。人々は必ずしもモノの価値を正確に計算するわけではなかったり、損するとわかっていても行動に出てしまう、と知ってはいたが、本書のように心理学的実験で立証されるとまた面白い。

・AとBの比較ではなかなか決められなかったことが、Aより劣るA'をそこに混ぜて3択にするとAを選びやすくなる
・同じ行動がお金をもらうと「仕事」になり、お金を払うと「遊び」になる
・「無料」のオマケに惹かれて非合理的な行動に出てしまう
・学生の課題は締切自由より締切が厳しい方が成績が良くなる

 など、著者とそのグループがさまざまな心理実験(よくMITの学生が実験台になる)を繰り返した結果が解説されている。内容は真面目なものだが、著者のユーモアと周囲の人に対する愛情溢れる文章で、最後まで楽しく読めた。

 さしあたって広告やマーケティングに携わる人、興味のある向きにはうってつけの一冊ではないか。


 

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