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「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

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  • メーカー: 文芸春秋
  • JAN/ISBN: 9784167306038
  • 定価: ¥ 490
  • 売上ランキング: 2345 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

現実生活の場でとても臨場感のある主題と分析
★★★★★2009-12-18
 いわゆる日本人論といえば、たいていは大所・高所からの鳥瞰的分析になるのが相場だが、議論の効き目が社会に生きる人にとっての振る舞いの根本に関わってくるという意味で、非常に読み手の現実感に訴えてくる著作だとまず思った。

 本書は昭和52年、1977年に上梓された書籍で、取り扱われている事項もその当時の時事問題なのでわかりづらさがある。読んでいてもその語られていた文脈が今の読み手に共有されていないためだが、気をつけて読んでいくと、そんなわかりづらさを感じる部分も本書の訴える部分と響き合っていること、また、記述の内容は時代が過ぎたとしても普遍の要素を炙り出していることが次第に解ってくる。

 記述の特徴としては世に流布する言説を分析していく形で、その言説に付着して場の抗いがたい雰囲気を作り出す働きとしての「空気」醸成作用、「水」に擬せられる通常性・いわゆる「現実」が空気を破壊し、さらには現状にに根を張ろうとする理想を根こそぎ腐食させる作用、といった言説に作用する力の及ぼし合いを具体的な発言内容・その意図する効果・意図しない作用に分解して示していく。その記述は時に読んでいて冗長さもあるが、そうした接近の仕方でこそ明らかになる独特のあいまいさや隠微さを持つのが「空気」「水」の働きでもあることは読み進めていくと見えてくる。

 読み進めていくと思うのは、著者が取り組んでいる主題は例えば金子光晴が詩作によって、村上龍が小説執筆によって、岡本太郎が美術制作によって格闘して抗おうとした「日本的」とも言われる何ものかで、ただ、こんな風にして論理的かつ日常の振る舞いにかえってくる研究としては非常に独特で稀なことではないか、ということだ。結論として「空気」「水」の支配は「個人」「自由」が実現するのを阻害し不可能にすると指摘するところは、前述の芸術家が現出させる作品と遜色のない視点を持っていて、彼らの作品と同様、いろんなことを考えさせてくれる。


 世に流れる言説や各人の抱く現実は構築されるものだという視点で論を進めるところはカルチュラル・スタディーズの一つとしても読み込めるし、空気の醸成や水の差しようはスピンドクターにとってのロジックになりえるという点で経営管理やマーケティングの視点からの読解も出来るだろうし、読み方に多様なスタンスを許す著作であるように思える。社会の網の目に生きる人にとっては現実味のある議論だと思う。
特に得るもの無し
★★☆☆☆2009-10-06
説明がまわりくどい。
簡潔に書けば10ページぐらいで収まる。
内容もありきたりでたいしたことない。
なんでこの本がこんなにもてはやされるのか不思議だ。

日本人論の古典
★★★★★2009-08-15
本書が世に出て数十年たち、著者の主張である「日本人は空気に支配される」と
いうことは半ば「常識」になったと思う。
即ち、「その場の空気に拘束され、科学的論理的結論を脇に追いやり、ありえない
狂った行動を取ってしまい、最後には自滅するのは戦前の軍部も戦後の様々な集団
も同じである」と言うような考えは今では普通の考えになった。

日本社会党は北朝鮮の拉致問題について、自民党の陰謀であるとし、最後まで北朝鮮
を庇ったが、それが原因で滅んだしまった。なぜ当時の(といっても、つい最近だが)
社会党があれほど北朝鮮を庇っていたのか、今となっては全く理解できないのである。

印象に残った部分は、空気に支配されるのは日本人だけでなく、あらゆる民族にもその
傾向はあるらしいということだ。西欧など、大陸の民族は判断の誤りで一瞬で滅んで
しまうような、弱肉強食の世界なので長い時間をかけて学習し、空気の支配を受けにくい
社会を構築してきたということである。

著者の主張はなかなか難解であり、何度も読まないと理解できないかも知れない。
私も全部は理解できていないように思う。しかし本書は日本人論の「古典」ともいえる
もので、是非一読すべきだろう。
空気って何
★★★★★2009-08-09
 空気ってなんなんだろう
 漠然と普段考えていたことの答えとまではいかないものの
ヒントがつかめたような気がします。
 科学的な証明や自明の理があってもそれを否定してしまう
空気
 おそろしいものの正体を垣間見た気がします。
日本と「空気」
★★★★★2009-06-16
この本は日本の根本原理、伝統的発想法を分析した本です。内容を簡単に説明すると。

【一】日本人は物事を相対化することが苦手であり、絶対化しやすい。絶対化すると絶対化したものに支配される。(物神崇拝、アニミズム)
【二】日本人は状況論理、状況倫理主義である。どんな時も悪いことは悪い、ではなく、時と場合、その時の状況によっては、悪いことも許されると考える傾向がある。(この傾向は必然的に日本的平等主義に行き着く)
【三】日本人は集団主義、家族主義である。日本人は集団に依存する傾向が強い。そのために身内を庇う傾向があり、身内に甘い。身内にだけ通用する常識を持つことがある。

この三つが重なり、集団(時には日本全体)が「空気に支配」される(劇場化する)、という分析です。この本を読めば日本の根本原理、伝統的発想法は戦前も戦後も、全く変わってないということがよく分かり興味深いと思います。

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