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アニメ文化外交 (ちくま新書)

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  • メーカー: 筑摩書房
  • JAN/ISBN: 9784480064875
  • 定価: ¥ 798
  • 売上ランキング: 130740 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

アニメが急速に世界化している。その現場レポート
★★★★★2010-02-28
本書で、
著者はアニメに対して現在、世界中の若者が熱中しつつある状況を報告しています。
その背景には、インターネットの爆発的な普及により、
優れたコンテンツは一瞬で世界中で共有される環境があることが言われています。
なるほど。
サウジアラビア、ミャンマー、チェコ。。。
米国やフランスではなく、
文化的・情報的な障壁の高いと思われる国での、
アニメオタクの姿がビビッドに迫ってきます。
アニメの何が支持されているのか、
本書はそこまで論を深めていませんが、
ファッションとのコンビネーション、
自由で民主的な発想、
多様なストーリー、
高品質の作画、キャラクターの魅力などが複合的に絡まって、
こういう状況が出来つつあるようだということが分かります。

作者の各国での体験での感動が伝わってくる、
優れた新書だと思います。

お勧めです。
和製アニメは、海の向こうでどのように受け入れられているのか?
★★★☆☆2009-10-03
 欧米や東南アジア(ここでは、タイやシンガポールなど、一足早く発展し始めた国を指す)
に於ける和製アニメの勢いについては、既に類書で語られておりますし、一部は私自身も
現地のオタクショップを覗いたことがあるので、理解をしている「つもり」でした。

 が、和製アニメは既に前述したような地域は飛び越えて、より多くの国に広がっていたの
です。ネットのおかげで(功罪については、本書でも著作権の問題と絡めて触れている)。

 本書は前後編の二章立てと言っても問題無いでしょう。前半は、冒頭で挙げた国々に
加えて、中東(それもサウジだ)や東南アジア(ミャンマーやカンボジアといったASEAN諸国
でも後進地域だ)における、日本アニメの人気度について、著者が行った講演の様子と合わせ
述べられております。
(欧米と違い、近年和製アニメが浸透した国々は、ネットによる視聴なので、国民総人口から
みれば極一部なのでしょう)

 後半は、ではこの優れたコンテンツを外交にどう生かせるか?という政策論(のようなもの)
になっております。後半部分は結局「日本を知ってもらおう」「日本好きを増やそう」「それ
にはアニメが使えるぞ」という風に、論としては少し弱い感を受けました。現在、行っている
ことは少なくても、今後どう生かすのか?という点は、逆に現場を知っている人だからこそ
机上の空論に終わらない物を提供出来るのでは?と考えるのです。

 とは言え、海の向こうに出て行った和製アニメのホットな現状をコンパクトにまとめた
一冊だとは思います。どんなものが受け入れられているのか?とか、諸外国の若者が抱く
日本のイメージはどんなものか?なんてことを知りたい方には良いのでは、と思った次第
です。新書と言うことでサクサク読めますし、財布にも優しいですから。
官民一体となった文化交流
★★★★2009-07-13
本書は、外国の若者にいかに日本のアニメが受け入れられ歓迎されているかを、実際に世界をまわって講演をした経験から語っている本だ。フランス、ドイツ、イタリアはもちろん、サウジアラビア、ミャンマー、ラオスまで! 世界の隅々まで水のように浸透していく、日本のアニメ。これを日本の文化外交の中核として用い、日本ブランドの向上、日本のソフトパワーの向上に役立てようというのが本書の主旨である。

もともと、日本のアニメ・ゲーム産業を、ハリウッドの映画産業なみに国家戦略として育成、リードしていくことによって、日本文化を世界中に伝えていこうという企画は、内閣府で2002年に始まり、翌年には、内閣府に知的財産戦略本部が設置されて、この役目を負っていくことになった。

これ以降、アニメ映画製作でも銀行の融資が受けやすくなり、現在の日本アニメの繁栄につながっている。「民」の力だけでなく、「官」との共同作業によって、この本に描かれているような、コンテンツプロデューサーとミャンマーの若者達との、活気に満ちた文化交流も実現したのだ。「民」もどんどん、「官」の力を利用していく時代となっている。「民」にとって、世界中に展開されている日本の在外公館を利用しない手はない。

こうした、日本アニメやその他のサブカルチャーが世界中に浸透していくことにより、日本に良い印象を持つ人たちが増えていく。日本が世界に良い影響を与えていると思う人たちが増えてくれれば、日本の安全保障にもつながる。軍事力や、ODAなどのカネのばら撒きによらずに、日本の発言力が高まっていくのだ。

アニメが世界平和に繋がっていくというのは、夢物語ではない。以前、どこかのサイトで書かれていた、アメリカ人アニメプロデューサーの言葉を思い出した。「善と悪はいつ何時逆転するかわからないし、はっきりわけられないとか。戦いは戦いを呼ぶだけで虚しいとか。平和がなによりも尊いとか。そういう思想がアニメのおかげで刷り込まれました。」

アニメの力は侮れない。平和と正義を広めるという過度の気負いは必要ないが、官民一体となって、この本に書かれているような、文化交流を地道に続けていくことは、世界にとっても、意義のあることに違いない。
日本アニメの海外での人気ぶりを肌で感じられる良書
★★★★★2009-06-10
 本書は、著者が実際に世界各地で日本のアニメに関する講演会を開き、現地の若者と語り合った経験に基づくもの。その訪問地の多さはアニメ関係者の中でも群を抜いているのではないか。イタリア、スペイン、フランス、サウジアラビア、ミャンマー、ラオス等実に多種多様な場所で日本のアニメについて講演している。聴衆の反応(熱狂ぶり?)は、どの国でも著者の想像をはるかに超えており、著者はこれを驚きと喜びをもって語っている。
 著者も指摘するとおり、海外でのアニメ普及はインターネットの違法ダウンロードによるものが多く、産業として成立するためには多くの課題が存在する。本書は著作権の問題については、「クリエイターへの敬意を育てる」ことにより解決が可能ではないかとしており、若干理想論であるように感じる。このほか「官」と「民」の役割についても触れているが、まだ研究途上の感があり、今後この部分はさらに膨らましてほしいと思う。
 ただ、著作権等の課題は今後のこととして、まずは日本のアニメがいかに海外で受け入れられているのかを知っただけでも大きな収穫だった。来るべき時代の最初の道しるべになる本のような気がする。



日本アニメ、恐るべし
★★★☆☆2009-06-07
外務省の海外アニメ講義の講師を務める著者による、アニメ・マンガ外交の最前線、かつ海外の「anime」事情の最新報告。アニメなどの文化を外交というか国益の用に供するというのには、抵抗感のある人もいると思われるが、ファンとしても情報に飢えている中、「本国」から無料でこうした情報提供がされる、というのはいいし、観光客、日本語学習者も増え、双方の理にかなう。個人的には著者が最後でちょろっと言う「アニメで世界平和」なんて大きく打ってでなくとも、日本のメリットになり、ファンの心が幸せであれば良いのではないかと思う。

興味を惹かれたのは、講演時の聴衆の熱狂ぶり。ヨーロッパは日本アニメ人気は定着した感があるけど、ミャンマーやらシリアでもマニアックな日本ポップカルチャーが聴衆からぽんぽん飛び出すこと。ジャニーズが好きとか、キラと読んでくれというサウジ人、あり得ない…スペインではアニメに精通した山田公使(当時)の活躍もあって、日本アニメで6万人のイベントが開かれているという。イベントで涼宮ハルヒのコスプレをするバルセロナ娘の写真やら、セーラー服を着るパリっ子を見ていると「一体この国はどうなってしまったんだ」という感じ(もちろん良い意味で)だ。

当然ながら日本アニメは身近に感じているが、ここまで世界中で虜になる人がいるとは、侮れないなと感じた。内容はよかったが、ちくま新書にしては、妙に字のフォントが大きいというか行間が広かったのが気になった。