ミラノ霧の風景―須賀敦子コレクション (白水Uブックス―エッセイの小径)

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  • メーカー: 白水社
  • JAN/ISBN: 9784560073575
  • 定価: ¥ 914
  • 売上ランキング: 5785 位
  • ★★★★

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カスタマーレビュー

静かで遠いヨーロッパの記憶
★★★★2008-12-12
毎日新聞の2008年秋の読書週間の特集で、福岡伸一さんが良いと言っているのを読んで買ってみた。ほとんどの日本人にとって、ヨーロッパがはるか彼方のあこがれの地であった1950年代後半から1970年代くらいにかけての、著者のイタリアでの体験が静かに語られている。数メートル先が見えないほど濃い霧が出るミラノ、菩提樹の花の香りが部屋の中まで立ち込めるペル−ジャ、冬には海から突風が吹きつける詩人サバを生んだ海辺の町トリエステ、町全体が劇場と化してしまったヴェネチア。気負うことがない静かな文章で、著者の鋭い感性を通して、それらの町とそこに住む人々の日常が、淡々と回顧的に描かれていく。著者が街角で遭った小さなエピソード、親しい友人との集まりでの会話。わずか40年か50年しか経っていないのに、この本がなければ、誰にも知られることがなく過去の中に遠ざかっていっただろう。なんでこんなにも、それが心に残るのか。
遠く過ぎ去りし、あの
★★★★2007-06-06
須賀さんのヨーロッパ全般(それこそ歴史も、またその経緯を含んだ文化)を紹介するというより、その場で生活してきた者として、その上20年近く以前の過去を振り返るというスタイルを貫き通す事で、温かみがあり、生活者の視点で描写された文章が素晴らしかったです。どこかハイカラなおばさんを連想させる文章です。と、同時に全てをあえて説明しない事から突き放した感じがまた、同性の方々には魅力的なのではないでしょうか?その事から(これは少し突き放した感じと、またいわゆるインテリ的なものを、あるいは本当の上流階級を目の当たりにした事も影響があると思うのですが)自律した(自立じゃなく)女性の視点も感じさせます。

ただこの文体は誰も真似出来ない、『須賀さんの個人のモノ』という事が1番素晴らしい事です。

中でも「マリア・ボットーニの長い旅」は素晴らしい。
美しき日々
★★★★★2005-03-22
初めて須賀氏の著作を読んだのが本書「ミラノ霧の風景」でした。
まず氏の文章の美しさに惹かれ、過不足の無い描写に惹かれました。何より氏を軸に様々な人々とのふれあいが語られている事、それが既に失われてしまっている事を了解した上で私達は読み進んで行きます。青春の一こまを見事に切り取って過度にセンチメンタルにならずに見せてくれます。今でこそ留学・国際結婚などが珍しくなくなっていますが、私が生まれた昭和29年当時に氏の様にパリに始まるヨーロッパへの留学から結婚を経て死別・帰国・母校等の大学で教鞭をとられた事に大変な驚きを禁じえません。氏が日本の社会やヨーロッパの社会とどう対峙し、どう切り結んで、どう折り合いを付けてきたのか。優れて戦後の個人史にとどまらず近代史をも描かれている事に感銘を受けます。
本書以後は河出書房版の全集を一冊・一冊購入しては読み進みました。
読者の私達はこの今、氏自身も既に亡くなっておられる事を知っています。氏の著作を読む時は二重の喪失の痛みを読み取ってしまう様に思います。
これから留学する人は勿論、キャリァを積み重ねてゆこうとする人、人間の生きる意味を問う全ての人に読んで頂きたいと思います。人間が人間として在るとはどうゆう事なのか。優れた文学に共通の主題がここにあります。
美しい
★★★★★2005-03-07
美しい。須賀敦子の作品で最も好きなのが、この「ミラノ、霧の風景」。
タイトルからして素敵です。
他に「ヴェネツィアの宿」も好きですが、
文章と内容が最も緊密なのがこの作品だと思います。日本には日記文学という素晴らしい伝統がありますが、
須賀さんの作品は間違いなく、その伝統を受け継ぎ、
美しい花を咲かせてくれました。
憧れ、郷愁、凛々しいサンティマンが須賀さんの文章を格調高くして、
紡ぎ出される情景が、掛け替えのない時を刻み付けてくれる。
本当にお勧めの一冊。ちなみに文庫「ヴェネツィアの宿」の関川夏生さんのあとがきも素晴らしい。

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