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文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

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  • メーカー: 草思社
  • JAN/ISBN: 9784794214645
  • 定価: ¥ 2,100
  • 売上ランキング: 17845 位
  • ★★★★

カスタマーレビュー

グルーバル・イッシューの最良の教科書(の1つ)
★★★★★2009-12-21
評判の高い本書を遅れて読みましたが感服しました。マイッタと思いました。 それは、本書が、文明崩壊という事象を、環境・社会経済・政治・民族の活性といった多層的観点から分析したという発想のユニークさ。その検証の方法として古生物学、考古学、文化人類学などの学際的なアプローチ、更にはそこで使われる各種科学的手法を活用してエビデンスをもとに論旨展開をしている論理性の二つの価値を持っているからです。 多くの類書に見られる、理念性偏重あるいは両極端の支枝末節的科学的知見の羅列を凌駕したまさに大著。この分野のクラシックスといっても過言ではないと思います。モアイの作成が資材調達のために環境を破壊し、その破壊がさらに大きなモアイを祈祷のために必要として環境破壊が進んでいく。悪循環に陥り自壊してゆくイースター島社会(上巻)。 人口過多が生んだルワンダの大虐殺(下巻)。 それぞれのケーススタディが、環境問題、人口問題、人道的介入の是非など、グローバル・イッシューの多くに関する、有益な教訓を含んでいて、文明論というより、生きた人類の歴史の教科書、あるいは、過去を将来へ生かす為の参考書として読も継がれてゆくべき名著と断言できます。この本を読みながら、外交も内政も迷走するわが日本はどうなるのだろうかと考えさせられました。 また、訳も非常にこなれていてこの本の価値を高めるものでした。
知的好奇心を刺激する、ミクロコスモスからグローバル化世界へ(上巻は過去を検証する)
★★★★2009-08-16
上下巻、800ページを超える大著です。

独自のあくなき知的好奇心から、過去、現在、そして、グローバル化した
世界の将来の生き残る「智慧」を、環境問題と人間の経済活動との相互作用と
人間の智慧を軸に、消滅し滅んだ文明社会と、連綿と行き続ける社会システム
との差異に注目し、一片の事実を丹念に収拾し、統合し、仮説を検証し、結果
として、人類の将来へ警鐘を鳴らす稀有な書です。

著者がなじみある米国モンタナを出発点に、過去(イースター島、マヤ文明、
バイキング、南洋の島々、グリーンランド)に、文明と経済社会を築きながら、
もはや現代では消滅した民族、文化、文明を、圧倒的な実証検証、学説、
書籍などの情報を丹念に丹念に収集しながら、それらを、学会や学説などの
定説の枠組みにとらわれることなく大胆に、しかし繊細に再構築して、
環境問題に迫る。

本書が、他の巨視的な歴史検証の類と違うのは、著者が鳥類学者、昆虫学者で
あり、しかも、それにとどまらず、森羅万象に興味をもって、事実や仮説が
学説を丁寧に広いあつめて、ボトムアップ手法で、各文明が消滅、
もしくは衰退していった理由を導き出していく道程にあります。

上巻は、現在(モンタナ)、過去(南洋、マヤ、バイキングなど)の文明を
ミクロコスモスとして検証を重ねて、各風土で行われた民族が行う経済行為と
土壌、森林、環境との相互作用を見ていきます。特に、イースター島の巨石像
の検証、マヤ文明、それにバイキングの盛衰の検証はぐんぐん吸い込まれて
いきます。

個人的には、イースター島のモアイを巡る、巨石文明を構築するための
手法についての、過去に展開された諸説(特に、宇宙人論)は、
なつかしくもおもしろかったです。

とにもかくにも、これでもか、といわんばかりの、ダイアモンドの
「腑分け」にも似た、丹念な事実、学説の収集と、検証する地道な努力
に脱帽です。
大作です
★★★☆☆2009-08-11
タイトル通り、文明崩壊を起こした国家、起こしてない国家等々について、歴史・地理も縦横無尽に飛び越えて論じられる。

上巻の前半部分は冗長。
後半にかけて面白くなります。

特に、個人的には鉱物王国と思われていたオーストラリアの惨状です。
こちらは、素直にショッキング。

日本の江戸時代の頃も触れられていて興味深い。

そして、文明崩壊に至る重要なキーワードは地理的なものであったり天候であったりという事。

最終章ではそれらを踏まえて、文明崩壊に至らないまでの方策が語られる。
オーストラリアと中国はもうダメかもしれない
★★★★2009-05-10
 現在起こりつつある環境破壊について、現代のアメリカはモンタナ州、オーストラリア、チャイナに関する考察と、マヤ、イースター島などの過去に滅んだ文明の崩壊の様子について考古学や植物学などを使って推測する興味深い本である。
 特にオーストラリアについては最近の動向が不可解だと思っていたが、もしかしたらこの本にあるような環境破壊が深刻化しているのも原因かもしれないと思った。オーストラリア政府が、過去に現地の生態系の破壊を進める政策を取ってきたことや、主要産業である羊や持ち込まれた兎が環境破壊の原因であることは寡聞にして知らなかった。
 環境を上手く制御できた事例として江戸時代の日本も取り上げられている。ただ、日本も江戸時代に整備された美林が荒れ始めているのが非常に気がかりだ。
 筆者は2005年にチャイナの環境を心配しているが、2009年時点では、実態はさらに深刻で改善もされていないことが日々明らかにされている。この本が指摘するように、環境を破壊して回復不可能な状態にした文明は絶頂期からあっという間に崩壊する。
最後の木を切り倒したとき,そのイースター島の住民はどのように思ったのか?
★★★★★2009-01-22
『銃・鉄・病原菌』でピュリッツァー賞を獲得したジャレド・ダイアモンドの新たな文明論である.

前書でダイアモンドは,人類がそれぞれの環境に適応して文明を発展させた過程を考察することで,文明の発展の違いは人種的な要因よりも,環境という制約が大きな要因であったことをシステム論的に明らかにし,新たな人類史を示したのに対し,本書では環境破壊を通じた文明崩壊の過程を通じて,その要因を探り,環境破壊の危機に晒される現代社会が持続可能であるための条件を考察する.

文明の崩壊という現象は,宇宙の始まりや生命の発生と同様に研究室で繰り返しパラメータを変化させて実験できないため,ダイアモンドは過去に起きた文明崩壊,すなわちイースター島,マヤ,グリーンランドでのヴァイキングの入植,などの失敗を通じて崩壊の要因を抽出する.その過程は前書と同様に単に歴史をなぞるだけではなく,地理学的,生態学的なシステム論的考察を含み,ダイアモンドの見識の広さを感じさせる.

環境問題は科学の問題だけではなく,経済の問題でもあるが,ある解決法が提示されたとき,その解決法を社会が受け入れられるかは,その社会の文化にも依存する.その点で文明という観点で環境問題を捉えるダイアモンドの方法は有効ではないだろうか.

最後に彼は森林伐採などの8つの文明崩壊の要因を,中国やオーストラリアなど環境破壊が進む社会に適用し,予想される危機を回避するための手段を提言するが,本書で最も注目すべきなのは,学生がダイアモンドに対して発したある素朴な疑問である.
「最後の木を切り倒したとき,そのイースター島の住民はどのように思ったのか?」

それは,結局のところ我々にとっての未来の人間が次の疑問を抱くことと同じである.
「最後の石油の一滴をくみ上げたとき,21世紀の人間はどのように思ったのか?」
まさに,エネルギー・環境問題の本質はこの質問に尽きるだろう.最後の石油をくみ上げるとき,そのときの状況を全人類が想像できるかが,環境問題の解決に重要だろう.