がちゃがちゃの歯並びがキュートな5歳のリトル・ビルが主人公の本作は、原作者のビル・コスビー同様、明るいリアリズムでいっぱいの作品だ。コスビー制作のアニメだからといってあの人気シリーズ「ファット・アルバート」の焼き直しと想像しないで欲しい。今回は友情よりも家族愛に重点が置かれた作品だ。リトル・ビルのニューヨークのアパート(場末のさびれた場所ではない)は、彼が外の世界とつながる基点になる場所で、幼稚園で抱えてきた問題・疑問を両親や兄姉、そして独創的なアイデア満載の偉大なアリスおばあちゃんといっしょに解決する場所でもある。家族、まわりとの一体感、連帯感をいつも感じさせてくれるストーリーばかりだ。本作は4話構成で、うち2話はみんなでわいわい車に乗りこんでスーパー・ファミリー・ファン・ランドに出かけるお話。あとは、ごみが投げ捨てられた駐車場をそうじするために近所の人たちと掃除隊を結成するお話と厄払いのためにアリスおばあちゃんが魔法のキルトをほどきながら昔ながらの家族の伝統を再確認するお話が収録されている。また、このシリーズはもうひとつのニック・ジュニア・シリーズの人気作「ブルーズ・クルーズ」のようにカラフルで斬新な色使いが楽しめるという点でも一見の価値がある。これはプロデューサーが望むリアリティ重視の番組作りに大きく貢献している要素のひとつだ。都会暮らしの困難さを実際に知る人たちは、このシリーズの穏やかで平和な雰囲気に違和感を覚えるかもしれないが、リトル・ビルが受け入れられる理由はビルのキャラクターだけではない。コスビー制作というだけあって、バックに流れるのは往年の懐かしいジャズのメロディーだ。テレビ画面に釘付けのこどもたちだけでなく、大人たちも指でリズムを取りながら楽しい時を過ごせることまちがいなしの1本だ。(Tammy La Gorce, Amazon.com)