影武者<普及版> [DVD]

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  • メーカー: 東宝
  • JAN/ISBN: 4988104044693
  • 定価: ¥ 3,990
  • 発売日: 2007-11-09
  • 売上ランキング: 22659 位
  • ★★★☆☆

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カスタマーレビュー

隆大介の信長がカッコイイです。
★★★★2009-06-25
失敗作なのか成功作なのか。どちらにしろこの貫禄ですからさすが黒澤監督だと思いつつ、しかしやはり仲代達矢さんのミスキャストは痛恨です。
仲代さんは私にとって永遠に輝く机龍之介(『大菩薩峠』)であり、素晴しい俳優さんです。しかし、この影武者の男は思い込みの激しいお馬鹿さんのはず。「ちょっと頭が弱いのかな?」的なお馬鹿さんの一途な滑稽さがあってこそのラストの悲劇であるはず。仲代さんの美しい目には状況を認識する正気があり、面持ちには理知の悲しみがあり、低い美声には知性があり、とてもとてもとても、お馬鹿さんには見えない。
嗚呼、やはり勝新太郎でなければならなかったんですね。あのユーモラスで陽性のバカっぽい雰囲気がこの役には必要だったのです。だから、申し訳ないが、勝新太郎を降板させた黒澤監督が全て悪いのです。このミスキャストのせいでこの映画は転んだと私は思います。
ちなみに子供の頃にこれを見て以来、隆大介が私にとっての信長になりました。以降、隆大介を覆す信長は見ていません。渡辺謙さえもダメでしたね。という訳で、本作は私にとって「隆大介カッコイイ〜」の一言に尽きる映画なのですが、それはそれでかなり価値があるようにも思えるし、しかし「黒澤映画にしてはそれではちょっと寂しいぞ」という気持ちもあるし、複雑です。
shadow warrior or double?
★★★★2009-01-02
乱と同じようにこの作品も風が大きな役割を果たしていますね。もっとも風林火山の武田なので当たり前なのでしょう。今回初めて見ました。戦国という無秩序、その中での制度の維持、権力政治上の謀略の当座の必要性を考慮したうえでもたらされたと思われる信玄自身の亡くなる直前の遺言、様々な思惑の中で時限的な防御の手段とした選択されたのが影武者というdecoyです。しかし、本人がもはや存在しない中での「影武者」は、もはや影ではありえないため、全人格的な没入と変身が必要とされます。そしてこのような状況下での「影」は「本人」以上の本人であることが要求されます。即興を駆使し、この敵だけでなく味方をも欺く見事な変貌ぶりは仲代さんの名演を見ていただくのが一番です。しかしあくまでも時限的な役割はその終わりが必ずやってきます。この終わりの接近は、他の大名(信長や家康)との抗争、武田内部での人間関係(勝頼との軋轢)の矛盾の爆発、そして予想もしなかった偶然の発生の同時的な発生の中で描かれます。doubleの終わりと共に描かれるのは、「旧時代」の戦略を状況を無視して、無謀にも「革命的」な軍事戦略家、信長相手に選択した「喜劇的」な勝頼です。武田軍の「山」を失った「風林火」の軍勢が壊滅する長篠の戦いのシーンはしつこいまでに順繰りに描かれます。合戦終了後の長いシーンは馬と赤がモティーフとなっています。もう一度影武者が登場する最後のシーンは見ていただくのがいいと思います。最後に一言、音楽はちょっとオペラを意識しすぎではないでしょうか。音楽は乱が優れています。
観るたびに発見し考えさせられる作品・・・たぶん死ぬまで。
★★★★★2008-12-21
この映画はほぼ数年ごとに見直していますが
見直すたびに新たな発見があり、そして涙している作品でもあります。
唯一自分を人間扱いしてくれた信玄のために影武者になる夜盗の男のお話です。
信玄の死後、極端に場面の間合いが長くなり、落ち着かなくなります。
そして大軍を率いる信玄の影武者はその勇壮な軍団の中で
居心地悪く存在するのです。
この映画の不安定さ・・・まるで武田信玄を失った武田軍団全員の心象風景そのものの様です。
そんな中でも影武者は立派な信玄を務めようとする。
武士のイロハも知らぬ男がついには信玄そのものように振舞うようになる。
最後までぎこちなさを残しながら。
やっと見つけた居場所に必死にしがみつく影武者と信玄の存在にしがみつく家臣たち。
そして破滅・・・
影武者の正体がわかり、武田信玄の存在がなくなった瞬間から崩壊していく武田軍。
徹頭徹尾この映画は「武田信玄」という男に支配されています。

仲代さんの影武者が凄い。
心象描写の台詞はこの映画は少ないのですが、もう影武者という立場に追い込まれた
数奇な運命の男を見事に演じ切っています。
鎧を着ただけの即席のお館、まるで借りてきたような猫のような所在なさげの男。
本来は豪胆な男だったろうに影武者を演じているうちに自分をなくし
竹丸(信玄の孫)と遊ぶ時は初めて家族を持った嬉しそうな顔を滲ませる。
やっと居場所を見つけたと思ったあとの破滅。
影武者を中心にして破滅していく武田軍のまさにトラブルメーカーとして
そして信玄の寄り代(信玄そのものではない)の人形としての存在を表現しています。
本来なら勝新太郎さんが影武者を演じる予定だったそうですが
もしもキャスティング変更がなかったらここまでの
無常観ある作品は生まれなかったでしょう。
山崎努さん演じる信廉と影武者のやり取りが本当によかった。
凄まじい緊張感の中で一服の清涼感だった。
しかも恐ろしいほど仲代さんと山崎さんは似ているのである。
まったくの小物の影武者に対して冷酷に接しながらも同情の目を向ける
近侍の根津甚八さんもまた良し。
大滝秀治さんの老臣山県や切って捨てるような言葉の隆大介氏の信長も良い味を出している。
昔の役者さんの台詞回しは目を閉じて聴いていても心地よいものだ。

組織の中の個人、自分というものの定義、人間は何を頼みとし生きるのか、
組織の非情さと崩壊、一人の人間が死んだあとの影響力・・・。
たぶん、この映画を観るたびに自分はそれを考え吟味して生きていくのでしょう。

おそらく死ぬまで。
過去の黒澤作品と比べると、ちょっと。。。
★★★☆☆2008-12-21
最初の信玄が3人いる、板の間のシーンは秀逸。日本独自の緊張感が漂う。ただそれ以降は、以前の黒澤作品と比べると、ちょっと落ちると思う。カラーで超大作だけど、そこに人間が描ききれていない。人間の心の表現が中途半端である。なんていうか、「踏み込み」が足りないのではないか。モノクロ作品にはモノクロという制限を越えて、人間を描いた作品が数多くある。画面から、「心」を感じる映画を沢山撮った、黒澤にしては人間の描き方が足りない作品だと感じた。
映画は娯楽だ
★★☆☆☆2008-12-20
 往年の黒沢作品は(これがいつかは人それぞれだが)、変な言い方だがB級大作、娯楽大作で、文字通り活動であり、とにかく面白かった。菊島隆三などらとの練りに練った脚本、荒唐無稽なチャンバラだからこそリアリティーをとことん追求した村木与四郎の美術、日本映画では珍しいテンポの良さを支えた佐藤勝の音楽など、色々な要素で成立していたのだけれど、これらが抜けたこの映画のような出し殻はちっとも面白くない。名作を作ろうとする意識、カラーにこだわりすぎた映像美。このような傾向が見え隠れして、映画は娯楽であるとの基本を見失ったのではないか。J・フォードは死ぬまで娯楽大作を作り続けたのを、学ばなかったのだろうか。思い入れだけが浮いている。

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